23日の英国の国民投票が刻一刻と近づきつつありますが、早ければ日本時間の24日早朝から出口調査の結果などが発表されることとなり、為替相場はかなり荒れた展開になることが予想されます。
英国と日本は8時間の時差がありますから、現地が夜になるとちょうど日本が明け方を迎えることになり、東京タイムが始まるころから続々と情報が入り乱れて入ってくることが予想されます。
突然のワイドスプレッドに要注意
ここであらかじめ注意をしておかなくてはならないのが通貨ペアの「ワイドスプレッド」の問題です。
ポンドを中心として売りなり買いなりの一方にあまりにも偏りすぎた発注が飛びかうことが予想されることから、本来はプライスが出ないような状況で「インターバンク」が無理やり数字を提示してくることになるため、想像を超えたワイドスプレッドが示現することに注意が必要になります。
ワイドスプレッドとは売りと買いの価格の間が30PIPSとか100PIPSといったとんでもない幅に広がってしまうことで、経済指標が発表された直後にこうした事態が次元することはよくあるものですが、英国の国民投票後にはこのようなワイドスプレッドの状態が長時間続くことも考えておかなくてはならないのです。
指値や逆指値がつかない状態
実際にどのぐらいのワイドスプレッドが示現するのかについては、その場になってみないとなんともいえませんが、たとえば100PIPSなどという法外なスプレッドになるとポンド円を150円でストップロスを設定しても売値が149円になるまで指値が履行されないといった、大きなリスクが発生することになってしまうのです。
当然こうしたワイドスプレッドによる損失は顧客が負担することになりますので、相場が予想通りの動きになっても利益を確保しにくくなりますし、万一のためのストップロスを設定しておいてもストップロス自体で設定された損失をはるかに上回る損失が出てしまうことも考えておかなくてはなりません。
こうなると「損切りを入れてあるから大丈夫」とは決していえない相場状況になってしまいます。
特にアジアオセアニアの相場が薄い時間帯で、クロス円のような架空通貨の場合には、信じられないようなワイドスプレッドが登場する可能性は高いといえます。
できればポジションは最小限にすることが防衛策
今回の英国の国民投票のようなケースはこれまでには無かったものですから、実際にどのような問題が起きるかよくわからないのが正直なところとなります。
ただ、2015年の1月15日に起きた「スイス中銀ショック」のようなことに近い事態が引き起こされることだけは考えておく必要がありそうです。
業界関係者によれば23日前にもワイドスプレッドが示現する可能性は高いとされていますから、せっかく取引をしてもちっとも利益にありつけない最悪の事態に陥ることも想定しておかなくてはなりません。
為替相場としては千載一遇の利益獲得機会にもみえますが、FXは相対取引という性格上、どのような価格を業者が提示してくることになるのかは非常に不明確であり、インターバンクが満足に価格を出してこなければ「値跳び」などの不測の事態に陥ることもありうるということだけはしっかり考えておく必要があります。
これはポンドのみならずドル円やユーロドルでも一定以上の注意が必要となり、とくに円がリスク回避通貨として大きく買われることになるとその相場もかなり大きな影響を受けることになりそうです。
できることならば、動きがはっきりするまでは取引を見合わせるというのが最良の選択になりそうで、迂闊にポジションをとって証拠金を無闇に減らすことのないように心がけたいところです。
とくに英国の離脱が決まった場合、その後はかなり長い動きになりますからまだまだ利益機会はたくさんでてくることになります。23日や24日だけに集中することをあえて避けてみるのもひとつの考え方といえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)
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