ここへ来て「ヘッジファンド」の解約売りや解散が相次いでいるという巷の噂は聞いていましたが、やはりその原因はかなりの運用成績不振にあることが見え始めています。
HFR(ヘッジファンドリサーチ)が発表した「グローバルヘッジファンド指数」によりますと、2016年の年初から6月28日までのリターンはマイナス1.8%で、2011年以来最悪の数字に落ち込んでいることがわかります。
運用成績はS$P500 のインデックスを下回る状態
「ヘッジファンド」は様々な投資を行っており、株式でも多様な視点で投資活動を行っているわけですが、下のチャートのとおり、「S&P」を安いときに「インデックス投資」で購入したほうが「ヘッジファンド」に運用を任せるよりはるかに利回りがいいという、かなり情けない状況に陥っていることがわかります。
株式の場合には銘柄を分けて分散投資したつもりでも単なる「インデックス売買」の利益にすら届かないというのはなかなかショッキングな内容ですが、これが現実になってきているのです。
出典 Broomberg
これが株に限らずグローバルマクロといって、実に様々な商品や銘柄に分散投資をする手法でもそもそもヘッジになっておらず、利回りが大きく落ち込むといった現象が現れ始めていることでもわかります。
プロがやっても利益がでないわけですから、個人が思いつきで売買しても儲からないわけですが、とにかく何年もかけて培ってきた手法が、うまく活かせなくなっているという事実だけはしっかり覚えておく必要がありそうです。
今年半期にはBREXITも入っており下落を加速
この半年の「ヘッジファンド」の成績には先ごろの6月28日のBREXIT騒動での暴落も入っており、特にこれがファンド勢を大きく痛めつけていることがわかります。
一部のヘッジファンド勢はBREXITの投票の出口調査を行ったともされていますが、どうも業界全体としてはあまり芳しい成果は得られなかったようです。
また年初は中国の人民元切り下げの不安と米国の利上げの影響を受けて、株式相場が世界的に大きく下落したこともマイナスに働いているようで、相場が下落するたびにヘッジファンドも相応の損失を被っていることがよく理解できる状況です。
個人投資家もやり方を考える時期に
「ヘッジファンド勢」は一定のシナリオを持って仕掛け売買をするケースも多くなりますが、やはり最近の相場では外れることも多いようです。
個人投資家にとって少しでも役に立つ教訓があるとすれば、とにかく思い込みで売買するのではなく、しっかり動きがでてから「順張り」でついて行って、ある程度の利益が出たときには「利食い千人力」とばかりしっかり利益確定をして欲張らないという姿勢が重要になりそうです。
妙な思惑で投資をしてみても個人の力ではどうにもなりませんし、プロがやってもうまくいかない相場というわけですからつまらない小細工はしても仕方ないことがよくわかります。
それでもファンダメンタルズで相場のテーマをしっかり確保する
「プロがやっても儲からない相場」と聞いてしまうと個人投資家には手立てがない感じがしてしまいますが、やはりこうした局面でしっかり押さえておきたいのが「ファンダメンタルズ」ということになります。
「ファンダメンタルズ」は単に経済のことに詳しくなるのではなく為替相場の中心テーマが何になるのかを理解するためのもので、必ずその時々に旬のテーマというものが現れてきますので、それに乗る形で売買に参加することが重要になるのです。
確かに投資のプロが運用しても難しい相場ですから、個人投資家が向き合えることは限られるとも言えますが、運用金額はそれほど大きなわけではなく、しかもFXに限定して考えればそれなりに利益機会をつかむことは十分に可能です。
またプロができなくて個人投資家にできるのは、相場がわからないときには休むことです。これも大きな武器になることを改めて認識しておきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)