週明けのドル円相場は、ショートの買い戻しが入り一本調子に値を戻す展開となりました。
東京タイムは株の買い戻しが入ったことも支援材料となり、NYタイムまでほぼ一方向に戻す展開となりましたが、こうなってしまいますとここからの動きは非常に難しいものになりそうです。
株も為替もトレンド転換までは達していない状況
株価のほうは26週MAを週末に確実に超えてくると、下落は収まってトレンド転換ということになります。日経平均でいいますと「16,444円」というレベルで、なかなか微妙なラインということができます。
政策期待でかなり1万6500円から1万7000円のオプションが売れていますので、上方向を見ている投資家が多いのも事実のようですが、現物株を買わずにもしかしたらとオプションを買っているあたりが泣かせます。
一方ドル円はこのコラムでも書きましたが、まずは「103.500円」のセンターラインを超える必要がありますし、6月24日の「106.840円」という高値を明確に抜けてくればトレンド転換に期待が持てますが、このレベルは英国EU残留ほぼ間違いなしといわれて相場がピークに達したときのレベルですから、ここからプラス4円近くというのはかなり厳しい状況です。
一旦レンジ相場になったと見れば話はわかりやすくなる
ドル円の場合、強いトレンド相場が示現するのは年間でもせいぜい2回程度で、それ以外は強さの度合いはいろいろでもほとんどが「レンジ相場」の往来になることが多いのはご存知の通りです。
足元の動きで、下落が一旦終わったと見るのはまだ気が早すぎる印象が強く残ります。
ここのところポンド円が大暴れをするようになってから、ドル円も1日1円程度では済まない上下動を繰り返し始めています。
売りも買いも場が薄いという点もこうした「ボラティリティ」の高い動きを作り出していますが、
「100円~105円のレンジ相場」と見るとわかりやすくなるかも知れません。
アベノミクス復活で買いが入っているとの話もあるが・・
株式市場を中心に「アベノミクス」復活で大きな財政出動に期待する買いが入っているようで、「バーナンキ」の来日もそれを支えるものになってきているようです。
しかし、果たして財政出動がどのぐらいの規模になるのか?またいつからスタートするのかで、この話はずいぶんと異なる結果になりそうで、財政出動があるならば、7月29日の「日銀の政策決定会合」は何も出ないという憶測も飛び交いはじめています。
発射台が高いほうが下落も深くなるという、なかなか辛らつな見方ですが、確かに7月のこの材料で尽くしの閑散期に、米国の利上げを差し置いて先に日銀だけが花火大会のような追加緩和を本当にやるのかと言われれば、その可能性はかなり低く、またしても「イベントドリブン」のファンドに結果を受けて、売り込まれる危険性があることも意識しておく必要があります。
要注意は米国のまさかの利上げ
「BREXIT騒動」のおかげで、すっかり米国の利上げの可能性は後退していますが、米国の「S&P500」は昨年5月20日に、ざら場最高値の2134.72を超え、2143.16まで上昇しています。
これが継続的に続くようならば「FRB」は商業不動産バブル対策などを含めて、大統領選挙前に一気に利上げを行う可能性もまだ残されています。
こうなるとドル円は一時的に上がりますが、株価が下落して結局「債券」が買われて金利が下がり、ドル円は円高というなかなか難解なプロセスに入り込むことも考えられます。
バークレイズは来年末のドル円相場レベルを83円と予想
「アベノミクス」再来を望む相場の希望的な観測の気持ちもわからないものではありませんが、一部の金融機関はかなりネガティブな見通しをすでに予測しはじめています。
バークレイズは「来年末のドル円の相場レベルを83円」と見ており、市場ではかなり話題になりはじめています。
自国のEU離脱のすったもんだから悲観的になりすぎているという批判もあるようですが、今年99円が底値だと思っていない投資家が増えていることは確かで、ここからの下値にも注意が必要となりそうです。
ここからのドル円は、安易にレベル感から逆張りをするのではなく、上げも下げもしっかりチャートでチェックをして納得のいくレベルからエントリーをすることが大事になりそうです。
とくに「レンジ相場」であれば逆張りも機能しはじめることになりますので、意外に儲けも出しやすい相場が期待できます。
(この記事を書いた人:今市太郎)