NYタイムもほぼ終盤にさしかかって、本来ならば凪の状態になるはずであった16日早朝の4時過ぎ、いきなり「トルコでクーデター的な状況が発生」したとの第一報を受けて、トルコリラはすべての通貨に対して大きく売られることとなりました。
トルコリラ円の1分足で見ますと、4時ちょっと前から見る見る売られる状況になり、朝5時半過ぎには「34.282円」まで下落しています。
その後、相場は終了していますので月曜の早朝いくらから始まるかが注目されますが、今のところ、すっきりとクーデターが鎮圧された状況でもないためリスクは引き続き残ることになります。
政治的なイベントで下落したなら絶好の買い場なのだが・・
2006年のトルコリラ円の月足を見ていただくとわかりますが、この34円台というのは、今年6月24日のBREXIT騒動につけた「32.225円」に次ぐレベルであり、このレベルを下抜ければ、ここ10年来の最安値となります。
これが戦争につながるものでないのであれば、思い切って買い場を探してみるというのも一つの方法になりますが、さすがにクーデターですから、ここでベンチャーで買うといっても、かなり迷うところがあります。ただ、相場的にはそのぐらいの最安値水準に近づいていることは間違いありません。
地政学的にはEUにとって放置しておけない国
地図をあらためて見ますとよくわかりますが、トルコは欧州からの地続きの国であり、シリアに隣接して難民も多く流入している国です。
このまま放置してさらにトルコからの難民が欧州に押し寄せれば、多くの国がUKなみにEUから離脱をしかねないぐらい問題のある状況となっていることは間違いなく、安全保障上もこの国の騒乱状態を放置しておけないことは間違いありません。
したがって、今回のクーデター騒ぎがどのように収束するのかはわかりませんが、落ち着けばある程度通貨も戻る可能性があるといえます。
ただ、現在のエルドアン大統領も強権を振り回すタイプであり「中央銀行」にも利下げをプッシュしてくるなど問題が多い存在であることも事実であるため、高金利といえどもあまり安易に返る通貨でないことは確かです。
ただ「7.5%」という金利は今となっては驚くほどの高さですから、底値で買っておけばそのまま長期に放置しておくことで珍しく「スワップ狙い」で稼ぐことも可能であることは確かです。
問題解決の見通しが立つのであれば、思い切って買ってみるというのもかなりベンチャーではありますが、その後の為替変動も気にすることなく保有できるため意外なチャンスともいえるのです。
トルコリラ円買いのトレーダーは100人が100人スワップ狙い
ひとつだけこうした通貨ペアを取引するときに気をつけなくてはならないのは、トルコリラ円の場合には、完全にすべてのトレーダーが「スワップ狙いで買っている」ことから売り手はほとんどおらず、相場の流動性はきわめて低いということです。
したがってひとたび下落が進むと、みなが売りたくなってまともには売れない状況になることも考えておかなくてはなりません。
そのため、できるだけ安いコストで買って、暴落しても騒がずに待てるトレーダーだけにお勧めできる通貨といえるのです。
「ドル・トルコリラ」のほうはトルコリラ円よりは流動性が高いようですが、実態は似たようなものですから頻繁に売り買いをすることはもともと想定しないで、うまく利益を稼げるチャンスを見つけることが肝要となります。
クーデターのようなことに起因して下落しているのでなければ、暴落したときに買っておくというのはなかなかいい方法ではありますが、果たして今回の騒ぎの結末に係るなかで政治的な状況を含めてまともに買えるチャンスが到来するかどうかが注目されます。
ここ数日様子を見ていくと、この先の行方を見出すことができる可能性もありそうです。まずは週明けの状況から見守りたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)
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