21日に共同通信が報じたところによりますと、政府が「経済対策の事業費を20兆円超とする方向で調整している」と報じており、8月初旬には閣議決定する方針とされています。
当初10兆円と見られた予算規模は、さすがに何の苦労もなく資金捻出ができることから、急に倍額へと巨大化しており、安易に創出できる「ヘリマネ」ならではの予算希望になってきている状況です。
しかしこれをめぐる関係者の発言がヘッドラインに踊るたびに、相場が乱高下するというややこしい展開がはじまっています。
株も為替も上昇したが
朝方、予算規模の報道が一人歩きしていることから市場はいち早く「アルゴリズム」が世民込んだのか株もドル円も大幅上昇を示現する結果となり、とりわけドル円はストップロスを巻き込んで「107.475円」レベルまで巻き上がる勢いとなりました。
ただ、依然として中身の詳細は判らないままですから、それ以上買い上げる動きにはなっておらず、調整が続いています。ただしそうは言っても確実に107円を抜けてきましたから月末の「日銀政策決定会合」までは上方向を試す動きが、継続しそうな状況になってきているといえます。
日経平均も1万7000円以上へと上伸するのはかなり確実視され、外国人勢を含めて多くの資金が株と為替に流入してきていることがわかります。
荒唐無稽な政策予測での難しい相場展開
正直なところ簡単に下落してしまう足元の相場展開はよく理解できないものがありますが、当の「黒田総裁」が「ヘリコプターマネー」は「必要も可能性もない」と発言したことが大きな下落のトリガーになったようです。
先般の「バーナンキ」訪問で何を1時半近く議論したのかは不明ですが、「日銀政策決定会合」に「黒田総裁」からこうした内容が飛び出すということは、政策決定契合もなにも出ませんという予告編なのかもしれず、ここからの相場はさらに混沌としそうな状況です。
さすがにあっさり80銭以上下落してしまいましたから、ほとんどのドル円のロングポジションを保有したトレーダーはことごとくストップロスをつけされられたことと思います。
「ヘリマネ」をやらないとしても、既存の手法で法律をいじらない中で、今の政権の財政出動のために「国債」を買う可能性がすべて否定されたわけではないところも微妙で、今回話題になっている「ヘリマネ」ネタを一体どう解釈すればいいのかがかなり難しくなってきています。
安倍、黒田の関係はしっかりと維持できているのか?
新聞報道で買いあがって、関係者発言で売り飛ばされるというのはかなり迷惑な話ですが、この「ヘリマネ」をめぐって政権と日銀との間で何が握られており、どこからが話しがついていないのかがハッキリしませんと、とてもではないですが、相場についていかれない状況で、今回さすがに困った状況に陥りつつあります。
「バーナンキ」は官邸サイドが招待した可能性が強く、黒田・バーナンキ会談は一応設定はされていたものの、なにが合意が形成されたものではなかった可能性も疑いたくなる状況です。
ここからもっとも心配されるのは29日の「日銀政策決定会合」の結果発表で、またしてもゼロ回答で黒田さんだけが会見で不屈の笑みを浮かべることになれば、相場が荒れるのは間違いなく、ドル円は100円に逆戻りも十分に可能性がでてくるところです。
とにもかくにもこの話に関しては、これ以上深く分析できる材料もなく、日銀と政権との間にそれなりの溝があることだけは確認できましたが、何ならば日銀は強力するつもりがあるのかが、わからないとなかなか怖くて売買ができないところに差し掛かっているといえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)
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