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7月の「FOMC」はほぼ現状どおりで利上げの可能性はなくなりましたが、米国国内の不動産バブルの状態は「BREXIT騒動」以降さらにエスカレートしている状況です。
確かに世界経済に不確定要素が多いことは間違いありませんが「FRB」はこのままのバブル状態を放置して、本当にリスクを乗り切ることができるのでしょうか？
思惑だけで猛烈に急騰し失望で急落する相場
米国の住宅価格指数を示すS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス・ケース・シラー全米住宅価格指数は今年の1月段階ですでに「インフレ」の進行率の2倍の速度で上昇中であり、ほとんど物価が上がらない中にあって住宅価格だけが上昇を続けていることがわかります。
当初は商業用の不動産価格が上昇していただけですが、今では住宅価格全般が上昇しており、もはやニューヨークのマンハッタンでは賃貸に入居するにしても高額すぎて部屋が探せないといった深刻な事態に陥ろうとしているのです。
「サブプライムローン」の問題以降、個人の住宅取得率は大幅に下がり、米国は家を持つのが大きなドリームとなってきたはずなのに、直近の市民生活には大きな変化が現れており、持ち家比率は低下傾向にあります。
にもかかわらず価格が上昇するということは明らかに投機的な動きにほかならず、本来「FRB」はもっともウォッチしなければならないアイテムに入っているはずですが、利上げのスピードは速まっていない状況です。
住宅バブルの崩壊だけでも金融市場への影響は多大
住宅バブルの崩壊は「リーマンショック」のような金融市場の崩壊とは異なるものですが、いずれにしてもバブルが走って崩壊すれば金融市場に与える影響はかない大きなものになることが予想されます。
「イエレン議長」が就任して以来、大きな相場の暴落という洗礼をまだ一度も受けていませんが、この住宅バブルを放置しておけば必ず問題が起きることは間違いなく、「FRB」が果たしてどのように対応していくのかが問われる時期にさしかかってきています。
株式市場の価格だけみているのではないかといわれるFRB
「FRB」は世界を代表する「中央銀行」の仕組みですから、かなり細かなインデックスを用いて利上げの「金融政策」判断をしているとも言われますが、一方では多くの委員が毎回提示しているドットチャートの予測はほとんど大外れで、何も役にたっていないのもまた事実のようです。
一説によればかなりの素人集団で高度な判断はできておらず、結局一番参考にしているのはS&Pの株価指数だけではないかという厳しい指摘も出ているのが現状です。
そういう意味でいえばこれまでの史上最高の2134を大きく上回っているS&Pの数値から考えれば、ここで利上げしないでいつするのか？という議論が巻き起こってもまったく不思議ではありません。
「FRB」の「イエレン議長」は先進主要国の「中央銀行」の中では珍しくサプライズに依存することなく対話重視で政策を決定しているとされていますが、これまで何度も利上げタイミングを逸しており、今の状態をいつまで続けるのかが「FRB」につきつけられた大きな問題になりつつあります。
もちろん米国の利上げは新興国経済に大きな影響を与えることになりますから、迂闊に決定できないことも事実ですが、このまま放置して米国経済自体がいかれてしまうと、もっと世界的な影響を大きくすることになりますので、ここからの判断が大きく問われることになりそうです。
ちなみに7月の「FOMC」には「イエレン議長」の記者会見がセットされていませんので、あくまで声明からそのあたりを読み取ることになりますが、利上げに対して強気の判断が伺えれば一時的にせよドル円は上昇する可能性があります。
その後29日の「日銀政策決定会合」のことを考えれば、これが絶好の売り場機会になりそうで、相場がどのように動くのかに関心が集まります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
