さて、本日8月5日から夏の「リオ・オリンピック」が開催されます。個人的にはそれぼど待ちにまった感じがしませんし、日本での五輪開催にともなう茶番劇を思い出すとオリンピック自体がそれほど期待される存在ではなくなってきている感もあるのが現実です。
また放送時間が日本とはまったく逆の地球の裏側開催であるため、なかなか見難い2週間が閑散相場に拍車をかける可能性もでてきそうです。
ただ、金融市場で注目され始めているのはそんなことではなく、五輪終了後のブラジル経済の状況と株価の下落の問題です。
株価の下落は為替にも影響を与えることになり、なにか大きなリスク回避の引き金になるのではないかとの心配もではじめているようです。今回はそのあたりに注目してみたいと思います。
新興国開催の五輪のあとはロクなことがない
90年代から8年毎に新興国でオリンピックが開催されることが多くなっていますが、この8年周期にあわせてバブルの崩壊などがあり、金融市場では暴落などロクなことがおきていないの実情です。
まあ新興国でオリンピックを開催することが問題というよりは経済の循環、特に8年ごとに株価が暴落する米国株式市場などもタイミング的に大きく関係していることは事実ですが、とにかく夏にオリンピックが開催されると、その後に大きく相場が暴落することが目立つ状況となっています。
8年前の北京五輪は「サブプライム」と「リーマンショック」、2000年のシドニー五輪は「ITバブル崩壊」、そして92年のバルセロナ五輪の直後はポンドががたがたに売り込まれる「BOE」の「ポンド危機」が起きています。
まあ、たまたまといえばそれまでですが、ここまで「アノマリー」として定着すると一度は売りで構えておいても撥は当たらない気がしてくるものです。
現実の暴落要因のほとんどは欧米を中心としたものがほとんどですから、新興国のせいにするのもかわいそうではありますが、株価下落の年と重なっていることだけは厳然たる事実といえるのです。
ブラジル自体もぎりぎりの状態
ブラジルといえば「デフォルト」でおなじみの国で破綻はそれほど珍しい話っではありませが、1999年ごろの最悪の状態からは抜け出ているものの、五輪開催を前に経済の停滞感ははんぱではない状況で、ブラジルの株も為替も相場は見構え始めています。
だいたいオリンピックが開催されるとそれに合わせて、株価も下落をはじめるようですから、今日からの動きが毎回の「アノマリー」に準拠したものになるのかどうかも気になるところです。
また時を同じくしたように原油価格が下がりはじめたりしているのも嫌気を増進させるものとなっているようです。新興国の場合にはオリンピックに合わせて無理をして投資を前倒すことからその後がスカスカになりやすく、中国でさえ2008年のあとはかなり成長が鈍化しています。
しかも秋口に株価が下げやすくなる直前の開催ということですから、放置しておいてもマイナスの材料は集まりやすくなるといえます。
ブラジル経済の悪化による直接的被害よりも引き金機能が怖い
ここ数年中国経済が鈍化しはじめてから、新興国への投資はかなり控えめになっており、特に米国が金利を上げ始めてからは株式市場も為替市場も大きな影響を受けるようになっていますから、足元でのブラジル経済の悪化状況が世界経済に大きなインパクトを与えるとは言い難い部分もあります。
しかしグローバル経済は何かが引き金になると一斉にリスクオフが起きたり、新興国から資金が撤退することが往々にしてありますので、そうした「引き金機能」をブラジルの株価下落などが担う可能性は高くなります。
ほかの材料を含めて、相場が上昇したタイミングでは戻り売りを考えておくとまさかの「アノマリー」実現時にはそれなりの利益を確保することができるかも知れません。そのぐらいこの夏は嫌な条件は図らずもそろい始めている印象があります。
(この記事を書いた人:今市太郎)