Photo Reuters.com
中国税関総署が13日に発表した9月のドルベースの貿易統計によりますと、輸出は前年同月比10%減少と2月以来の大幅な下げ幅となり、ほぼノーマークだった市場はこれを受けて大きく下落することとなりました。
輸入は1.9%減。元建てでは輸出が5.6%減、輸入は2.2%増となっており、貿易黒字は人民元建てで2783.5億元を示現しています。
ドル円は13日の仲値時間まで大きく続伸する形となりましたが、この数字の発表を嫌気して結果的には103.300円レベルの日足100日線移動平均付近まで下げてなんとかぎりぎり下値を維持して戻す格好になっています。
中国は今年政治のとしのはずが・・
中国は今年、政治の年と言われ経済関連では悪い数字は絶対に出さないといった憶測も飛び交ったものですが、足元での貿易統計の悪化をそのままいじらずに生の数字として出してきている背景にどのような思惑があるのかが非常にきになるところです。
ここのところ落ち着きを払っている上海株式市場は、指標上は確かに安定していますが、すでに取引額は「昨年ピークの10分の1」ということで、まともな市場として機能しなくなっており、金融市場の話題になっていないだけで中国の市況がよくなっている兆候はどこにも見当たりません。
ただ、今年2月の上海「G20」 サミット以降、中国ネタはリスクの材料としてテーブルに上らずにここまで来ており、いきなりリスクとして認識されているところがかなり不思議な印象でもあります。
市場リスク材料は満載だがどれに反応するかわからない相場
ここのところ為替市場のテーマは米国の利上げ、大統領選挙、「ドイツ銀行」問題に「WTI原油価格」の推移といった4つに絞られて推移してきていましたので、改めて中国の景気の問題が浮上してくるとリスクエレメントはさらに複雑化することになります。
市場関係者のだれしもが中国経済が良好な状況になっていると安心はしていないだけに、これがテールリスクとして大きな影響を与え始めますと相場は上向きよりも下方向を再度模索することになりそうで、かなり注意が必要になってきます。
他国の心配をしている場合ではない日本
出展 SankeiBiz
「IMF」は10月4日に世界成長率の見直しを発表していますが、これによれば、中国はこの先微減にはなるもののなんとか6%台の成長を維持するとの見通しが発表されています。
「BREXIT」と騒がれたころに比べると既に驚異的な成長はかられなくなっていますが、これまで中国起因で成長が図られないとされてきた世界経済は先進国自らの理由で成長が進まなくなってきている点が気になるところで、中国経済だけを不安視している場合ではなくなってきています。
とくに日本に関しては、今回上方修正が行われていますが、よく見れば先進国中もっとも成長の低い国であり、他国の心配をしている場合ではないことがよくわかります。
ただ、中国起因でリスクオフとなれば当然円が買われる展開となりますから思わぬ円高に引き戻されるリスクが常に残ることになります。
大きな下落を示現しない10月相場
10月は米国の株式市場をはじめとして一定の下押しがでやすい時期ではありますが、昨日のNYダウも序盤は1万8000ドルを割りながらなんとか回復し、1万8000ドル台を維持して終えています。
下方リスクは常に意識しつつも大きく走らない相場のまま10月を終えられるのかどこかで大きなショックがでることになるのかなかなか判断がつき辛い状態が当面続きそうです。
とはいえ、ドル円はほぼ半日たらずで1円20銭以上下落していますので、日々のボラティリティはかなり大きく一方的に上昇はしない難しい相場が継続中ですから、適当なレベル感だけで売買しますと、足元の相場でもかなりやられることになりますから、見掛け以上に慎重な売買が必要となります。
(この記事を書いた人:今市太郎)