「ブラックマンデー」という史上最大の暴落から、まもなく丸29年の歳月が経過しようとしています。
今年の10月19日は、米国大統領選挙の第三回目のテレビ討論会が開催される日ということで、お日柄的には決してよさそうではありませんが、29年経過した今でもこうした暴落の原因といったものはまったく解明されていません。
そしてこの株価暴落はその後も7年から10年に一度、米国株式市場を基点にして必ず起きる現象となって今も継続中です。
理由がわからないわけですから防ぎようのないものともいえますが、「リーマンショック」のように明らかに問題の所在がはっきりしていてそこから一気に相場下落が噴出すケースもあり、時間が経つにつれて暴落のパターンも多様化しつつあるように思われます。
いまだに理由がわからないブラックマンデーの暴落理由
今では相場が下落しはじめれば秒単位でその状況がネットを通じて粒さに把握できるわけですから、すべての個人投資家は当時の株式ディーラーやインターバンクディーラーと互角以上の情報をもって売買に臨むことができるようになっています。
しかし、当時はまだ携帯電話もなければメールを使ったやり取りさえ利用されていなかったわけですから、テレビなどのニュースを経由ししてその惨状が伝わってこととなり、市場にタイムラグが生じたことだけは間違いありません。
結果としてダウ30種平均の終値が前週末より508ドルも下がり、日経平均株価は3,836.48円安(14.90%)の21,910.08円と過去最大の暴落を起こしてしまうことになります。
まあ足元の相場から見ると、2万1000円でもえらく高値に見えてしまうところがなんとも情けない状況ですが、とにかく猛烈な下げであったことだけは理解することができると思います。
立ち上がりから猛然と下落する相場
87年10月19日月曜日のNYダウは、オープンと同時にものすごい勢いで下落を開始することになります。それと対照的に米国債の価格が急騰し、利回りは当然急低下することになります。
これは、債券が緊急避難先として買われたことに加え、「米FRB」が株の急落を沈静化させるために大量の資金供給を行ったことが金利を下げる大きな原因となってしまったわけです。
ただ株と債券と為替の関係はこの当時は明確で、株価が下落すれば債券に資金が逃げ込む形は常套手段となっており、金利が下がれば当然為替も下げるという動きになり、今から思えばかなり素人でもわかりやすい展開になったことは事実です。
当時はFXなどという形で売買をする個人投資家は存在していませんでしたから、為替のディーラー経験者でなければ為替を通して相場の暴落を経験した人間もいなかったことになります。
ただ翌日のNY市場は乱高下の挙句に上昇に転じ、さらにそれを見た東京市場は前日比9.3%と急騰して暴落時がもっとも底値となりました。
理由は明確ではないが売りが売りを呼ぶ展開だったのか
この暴落は今もってその明確な理由はわかっていませんが、ネットのなかった当時は下落という動きをうけて多くの投資家が後追いの形で売りを持ち込んだため、必要以上に下落が進んだのではないかという分析がなされています。
また当時やっと利用が始まった「アルゴリズム」による売買もこうした下落に拍車をかけたのではないかという分析もでてきています。
しかし近年の暴落というのは「アルゴリズム」による自動売買がかなり主体性をもって動いていますから、暴落スピードはこうした昔のものとはわけが違うほど早くなります。
つい先日の東京タイム8時台の謎のポンド急落でもそうでしたが、チャート上では相場は下落しても「インターバンク」が数字を出さなくなると結局相場は成立しなくなるという、実に不可解なことも起きはじめており、暴落相場は昔以上に破壊力のあるものへと成長していることは間違いありません。
年末までまだわからない相場の行方
この9月、10月は米国の株式市場も「アノマリー」的に下落が予想されているにも係わらず、大きな下落を経験しないままに11月の大統領選挙に突入しようとしています。
果たして何事もなかったかのようにこのままもみ合い相場を続けるのか何かのきっかけで大統領選前に調整が飛び出すのか、今のところその兆候はまったくつかめていませんが、安心しきっているときが被害ももっとも大きくなるものですから、やはり気をつけて年末まで過ごしていく必要がありそうです。
この記事を書いた人:今市太郎)