ドル円は25日のNYタイムに104.50円を抜けてから上値試しを行い104.89円レベルまで上伸することとなりました。ここのところNYタイムになると、上方向に上昇する傾向にあり日本株との連動性を含めてファンド勢がドル円を買い上げている可能性がかなり高くなっています。
しかしさすがに105円から上には「実需」の売りがあるようで、テクニカル的には本来もう少し上まで上がっても決しておかしくはないものの、そう簡単には105円に戻れず、ボリンジャーバンドでもバンドウォークするようには見えないまま一旦は下落をしています。
果たしてここから、さらに上値を試すのかレンジ相場として105円を上限に大きなイベントを控えて当分日柄調整を続けるのかが注目されるところとなってきました。
12月の利上げを織り込んでも上がらない金利
ドル円はここのところ米国の10年債金利の上下動にしっかり寄り添うような動きを見せていますが、肝心の10年債金利は2%に届くといった米系証券会社のレポートも登場したものの、結果的には1.8%を超えたところで足踏み状態であり、これがドル円の上昇にも影響を与えている状況です。
かなりいい線まであげたドルインデックス
「ドルインデックス」をチェックしてみますと、すでに100にかなり近いところまできており、もちろん100を超えることも想定されますが、ドル高を望まない米国の金融当局が「口先介入」を行うレベルが近づいているとも言え、ここからドルがだけが上昇するのはかなり難しくなってきているところにさしかかってきています。
ユーロドルだけ見ていますと、もう少しドルが上昇する余地があるようにも見えますが、12月の利上げもかなり織り込みつつある中ではここからドルだけがあらゆる通貨に対してさらに上昇するかどうかは微妙になってきています。
11月の日米政策決定会合ではほとんど動かない
11月初旬には日米の政策決定会合が開催されますが、日銀が米国大統領選と12月の「FOMC」の利上げ前に緩和措置をとって動く可能性はきわめて低く、株価も大きく戻しているこのタイミングでは現状維持となることは間違いないものと思われます。
また11月の「FOMC」でも利上げがないことは織り込まれており、12月利上げを予見させる文言が入るかどうか程度が注目点となりそうです。
こうしたことからドル円も、足もとの状況からさらに大きく上昇するのは、別の材料を必要としていることは確かで105円~100円のレンジ相場が当分続きそうな状況となっています。
問題はファンド勢の決算対策の動きの終焉時期
現在、欧米系ファンドが挙って決算対策で利益を無理やり稼ぎにくる動きを強めています。
日経平均の買い上げも「WTI」の原油先物のロングの積み上げもドル円の買いもすべてはファンド勢の動きによるものと見られますが、これが一定の利益を得て終焉となると一気に巻き戻しの反対売買が出る可能性があり、それが10月末なのか11月末なのかによって相場の動きが変わる可能性がでてきています。
原油は11月30日からのジュネーブでの「OPEC」総会で必ずしもすんなり減産がまとまらない可能性もでてきていることから、早い段階でファンド勢がロングを手放す可能性が高くなっています。また日経平均もここから1万8000円を明確に超えるところまで価格を吊り上げるかどうかは微妙であり、1万7600円前後がピークとなればそろそろ終焉が近い状況にもみえます。
こうしたファンドの投資の終焉が見えてくればドル円の上げも一旦終了する可能性が高く、早ければ大統領選の前に相場の流れが変わるリスクについても想定しておく必要がありそうです。
米系のファンドの場合には、サンクスギビングの前までには決着をつけてしまいたいと思っている可能性は高く、大統領選挙を絡めて前倒しに利益確定をおこなってお仕舞いという動きになることは十分にありうる話です。
(この記事を書いた人:今市太郎)