皆様ご存知のとおりトランプ政権が誕生し、しかも上下両院が共和党という恐るべきパーフェクトゲームが達成されることになりました。相場はかなり動揺して株も債券も為替も売られるのかと思って下値で待っていたのですが、そもそも為替が下方向に走らない。
ああ、これはそれなりのショートの巻き戻しがでるかと思いましたが、案の定そのかたちとなり、ドル円は結構大きな巻き戻しを食らうこととなりました。
フィボナッチの61.8%戻しを示現したドル円
さて、実際のドル円相場ですが、本日朝105.465円をつけたあとヒラリーの形勢が悪くなったことを受けて101.200円割れまで下落することとなりましたが、トランプ大統領誕生を受けてなんとフィボナッチの61.8%戻しとなる103.800円の手前まで買い戻されています。
理由はよくわかりませんが、昼間からのショートが溜まりすぎたのの解消もあるでしょうし、ドル円のヘッジで下落方向で買っていた向きがヘッジをはずしたことから上昇を示現したのかもしれませんが、正直なところ100円割れを期待していたことからかなりがっくりさせられることとなってしまいました。
ここからの動きを確認するには債券の動きに注目
株は一旦戻しているようですが、ここからの相場の動きを占うためにはなんといっても「債券」がどのように展開するかに注目したいところです。「リスクオフ」感が強まれば債券が買われることになりますから金利は下がり、一時的にはドル円も下落が予想されることになります。
今晩のNY市場からどのような動きになるのかをまずは注目して、次なる展開を考えて行きたいと考えます。9日のNY市場を終えてみますと、一旦相場の動きは掌握できることになりますので、そこまでは様子を見てみるのもひとつの方法といえます。
トランプ氏は「イエレン」の続投はありえないとしていますが、「中央銀行」として独立した動きがとれることになるのか、はたまたトランプ旋風に巻き込まれてあえなく利上げ一旦中止に追い込まれるのかが見所になりそうです。
とはいえトランプ政権がスタートするのは来年1月20日ですからまだ結構先の話であり、すぐに相場が大きく動き出さない可能性も高くなります。
とくにどのような政策を実際に持ち出してくるのかがわからないことにはなかなか動けないのもまた事実ですから、やはり全体としては流れが見えるまでは消極的なリスクオフのモードが継続しそうです。
米国市場における株と債券の動きがかなり明確化してくれば為替も落ち着いて取引できることになりそうですが、そもそもドル円に関して言えばここからどんどん上昇する材料があるわけではありませんから、年末一杯まではレンジ相場を継続させることも考えておく必要がありそうです。
「BREXIT」に比べますとこの大統領選のほうは相場の動きは大きかったものの、フラッシュクラッシュのようなパニック売りがでなかったのは結構印象的でした。
米国民にとってはトランプの存在はさほどリスキーではない可能性も高く、外野の存在が危険視したいたほど相場が混乱しなかったのはかえって驚かされた次第です。
ここからは投機筋もサンクスギビングのお休みに入りますし、大きな動きは一旦収まってしまった可能性もありますが、次の方向性だけは年末に向けて確認していきたいところです。まさかのトランプ政権誕生の割には相場が比較的淡々とした状況にあるのが逆になんとも気になりますが、投機筋も含めて今後の方向性をさぐるために多少時間を稼ごうとしているのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)