読み込み中...
トランプ政権誕生による公共投資期待という単純かつ実に漠然とした理由から債券は売りに売られ、株に怒涛のように資金が流れ込む相場が継続していますが、その裏で昨年12月の米国の利上げ直後からの「リスクオフ」の動きに似た展開で、喘ぎ始めているのが新興国の市場状況となっています。
FRBももはや規定演技のように12月利上げか
トランプ政権誕生による景気期待から国債金利のほうが「FRB」よりも先に上昇してしまいましたので、いまさら0.25％程度利上げが起きても株価にはなんお影響もなさそうにみえる市場ですが、利上げの影響はやはり新興国にはかなり大きな影響を与えることが予想されはじめています。
先週のいきなりドル高相場の影響ですでに新興国通貨に顕著な兆候が見え始めています。市場ではまったく注目されませんが、トルコリラは史上最安値、フィリピンペソは2009年3月以来の安値を付けました。
また、11日にインドネシアルピアは1月28日以来の安値まで急速に値を下げたことから、インドネシア中銀がルピア買いの市場介入を実施しており、かなり深刻な状況です。影響は為替だけではなく、株式市場にも波及しており、通貨の下落は株価の下落へ広がりを見せています。
トランプのレパトリ優遇策も新興国には打撃
トランプ政権の具体的な政策が登場するのは年明けからですが、すでに市場は同氏の発言に一喜一憂する動きを見せていますので、かなり注意が必要になってきていますが、トランプ政策の中でも海外から資金を米国に持ち帰るのなら税制を優遇するといった発言が選挙選の前から公約として登場していますので、額面どおりに受けとれば深刻国にとってはさらに具合の悪い状況が示現する可能性を示唆しているともいえます。
もちろん実際の政策履行は1月20日以降ですから鬼も笑うほどまだ先の話ですが、今の相場の雰囲気ですと話がでたただけでも動きがでそうな状況です。
OPEC総会の結果も市場に鉄槌を下す可能性
どうも妙に楽観的で浮かれた相場になりつつありますが、忘れてはならないのが11月30日にジュネーブで開催されます「OPEC」総会での個別国の減産割り当て合意の問題です。
米国大統領選挙の前には個別国減産期待がかなり剥落したことから「WTI」の原油先物価格はかなり下落しましたが、トランプ期待相場によるNYダウ爆上げ状態の中では市場はあまり気にしなくなっています。
しかしここから落ち着いてサンクスギビングを超えたあたりに、この話が蒸し返されることになるといきなり株式相場も「リスクオフ」へと転換する危険性が残ります。
あまりにも簡単に上昇しすぎた相場の反動が怖い
トランプ政策期待の爆上げ相場ですが、とにかく手のひらを返したように大きく上昇してしまい、市場では特に大統領選開票前後で儲かった人間はほとんどいないのではないかという噂が囁かれ始めています。
やはり「ヘッジファンド」の期末利益獲得相場の一環としてAIを実装した「アルゴリズム」がいきなりトランプ大統領決定後から買上げをはじめ、市場がそれについて行かざるを得ない譲許が続いている可能性があります。
10月の日経平均、ドル円、原油買上げ相場も11月になった途端にすべて反対売買がでて一旦終息していますが、今回のトランプ相場でもそれなりの利益がでているはずですから、サンクスギビング前に手仕舞いとなると結構な下げを出し始める可能性がありそうです。
流れ次第ではクリスマスの直前まで引っ張ることになるのかもしれませんが、まずは感謝祭前に一息つくかどうかに注目したいところです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
