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14日からの5日間も為替相場は怒涛のドル高展開が続きました。ドル円もユーロドルも大きくドルが上昇する動きとなりましたが、円は各通貨に対して総じて弱く円安は予想以上に早い進行となってきています。
その中でもドル円は9日の最安値からすでに10円高に迫る勢いであり、高値ではなかなか買いについていけない向きにはいつまで経ってもポジションが作れないというなかなか厳しい展開になりつつあります。そんな中で市場ではひとつの明確な動きが顕在化しています。
110円台でミセスワタナベが大量戻り売りを開始
「ミセスワタナベ」とは外国メディアが言い始めた本邦の個人投資家の俗称で特別オバサマが逆張りに登場しているわけではありませんが、うまく買えずに110円台まで相場が進行してしまったことから抵抗線の集まる110円台で逆張りの売りにまわる日本の個人投資家の数が日に日に増えていることが報道されはじめています。
ドル円が上昇しはじめた9日からの相場の動きを1時間足で追って見ますと、一旦106円台まで噴いてかなりいい線まできたとみた向きが売りで応戦したもののさげが甘くショートをリカク、その後買い上げを画策する投機筋が一段高に相場を持ち上げ、ショート勢が損切りに追い込まれて「ショートカバー」でさらに一段高という動きを連日繰り返し、とくにNYタイムに買い上げがきつくなることから東京タイムに戻ってくると毎日対ドルで1円づつ円安が進む勘定で毎日推移してきたことがわかります。
さすがに111円となるとすでに短期間に10円近い上昇になっているえけですし、週明けは感謝祭もありますから一旦の利益確定がでてもおかしくない時期にさしかかっていることは事実で、実際109円を超えてきた時点ではそれなりの投機筋のリカクも出始めていることが確認できています。
週明けミセスワタナベ狩りを画策するファンド勢も
日本のFX個人投資家と一口にいいますが、FX市場では世界の個人投資家の半数を超える存在であり、とくにドル円に関しては実需の次に力のある存在にまでなってきていますから、今年も儲からずにトランプ相場と称してドル円を「アルゴリズム」を利用していきなり買い上げて火柱相場に仕立てているファンド勢も相当なエネルギーともって買い上げないと上には行きにくい状況であることは間違いありません。
しかし個人投資家の売りポジションや売り注文が多くなればなるほど相場は下がりにくくなり、しかもそれを利用してもう一段上を目指す投機筋には絶好の買い上げチャンスが到来していることは間違いありません。
すでに「ドルインデックス」では101を超えていますから、常識的にはここから買い上げは難しいと見るべきなのですが、ファンド勢はとにかくトランプの就任前にある程度カタをつけてしまいたいと画策しているようで、感謝祭で一服してもそのあとくりすますイブの手前、具体的には「FOMC」の直前までさらに吹き上げさせるリスクが高まっています。
外為どっとコムが公表している個人投資家の売買動向ではやはりここから上に売り注文があり、こうした注文が一段高に使われる可能性は高いといえます。
データ 外為どっどコムの18日公表分
結局なんの論理性もない無茶な買い上げはファンド勢の仕業
思い起こしてみると、プロのインターバンクディーラーでさえ驚いたトランプ勝利後から即座に始まった大きなドル円の戻りは、結局のところAIを実装した「アルゴリズム」の非人間的取引の結果であることはほぼ間違いない状況です。
裁量取引にかかわってきた人間が異口同音に違和感を覚えるのは当たり前の話で、今年もなかなか利益にありつけなかった輩がトランプ勝利を利用して相場を株も為替も思い切り持ち上げていることは事実です。ここからはそのファンド勢が感謝祭の前までにいくらドル円を追加で吹き上げさせるかが大きなポイントになりそうです。
18日のNY市場は一旦利益確定もあり、週末なのでたいした動きにはならないかと思われましたが、110円80銭台で引けており、週明けさらに112円台方向へ持ち上げる気満々の状況となっています。
買ったらその分をどこかで売らないと利益がでない投機筋の宿命ですから、感謝祭を前に上昇も終わることが想定されますが、その前の日本の個人投資家の戻り売りとそのストップロスを利用すれば確かに112円台までは駆け上っておしまいにすることは可能に見えます。
ということで戻り売りはもう少し待ってからポジションを作り始めることが肝心ですし、どう考えてもこの高値から上方向に順張りでついていくのには違和感がありますが、あえてタイトなストップロスを設定してファンドの動きに乗って稼がせていただくという割り切り売買も必要になってきているようです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
