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9日以来トランプ相場とやらで株も為替も大幅に上伸する動きが継続中ですが、17日の東京タイム仲値をこえた時間帯にドル円相場がいきなり大きく跳ねる動きが見られました。
その後すぐに日銀は債券の買い指値オペを実施したことがわかりましたが、瞬間的に108円台から109円26銭レベルまで跳ね上げたドル円相場は、その先が続かず一気に行って来いという元通りの相場になってしまい、いまひとつ日銀オペレーションの意味合いが市場には伝わらない状況となってしまいました。
あせりがそのまま示現した日銀オペレーション
Photo 時事通信
今回の指値オペはあらかじめ指定した利回り（価格）で国債を買い入れるのが今回の指し値オペのやり方で、無制限買い入れを基本としています。
9月の日銀政策決定会合において「オーバーシュート」気味に物価目標達成後も国債を買い上げを続けると宣言したイールドカーブコントロールでしたが、これまでは「マイナス金利」を多少上昇させるために長期国債の購入をセーブする形となり、事前の市場の噂どおり国債の購入額は減少傾向にありました。
しかし今回トランプが大統領に就任することとなってからは米国債は大きく売られ、国債金利は激しく上昇することとなり、日銀としては金利の上昇に巻き込まれないためにいち早く今回のような異例の措置を実施することで、JGBの金利は簡単にはあがらないことを改めて市場に宣言して見せたものと捉えられている状況です。
「インフレ」が進まない限り長期金利の制御は簡単に実現できると高を括っていた日銀は、いきなり米国債金利が上昇し始めたことになり、このまま「インフレ」が加速することにでもなれば、「黒田総裁」が否定していた「ヘリコプターマネー」を完全実施せざるを得ない状況に追い込まれることになります。
「黒田日銀総裁」は17日の参議院財務金融委員会に出席し「米金利上昇による自動的な金利上昇は容認しない」と語り、日銀は17日午前に固定利回りで「国債」を無制限に買い入れる「指し値」オペ（公開市場操作）の実施を初めて通知していますが、これが「ヘリマネ」の実施まで含めた相当の覚悟によるものなのかとりあえず市場のけん制のためにやってみただけなのかが気になるところです。
今回は「ヘリマネ」についてメディアを含めて市場ではほとんど騒ぎにはなっていませんが、永続的に金利を上げないオペレーションを現実のものにしようとなれば実施は不可避であり、さらなる金利状況局面で「ヘリマネ」の話が再度クローズアップされることは間違いないものと思われます。
政府にとっても金利の上昇は莫大な債務残高をかかえるこの国にとっては死活問題であり、日銀はなんとしても低金利を守り抜かなくてはならない厳しい立場に立たされているといえます。
トランプは日銀のヘリマネによる為替操作を果たして許すのか？
Photo 内閣広報室
ここでもっとも気になるのはこうした指値オペでドル円が円安に触れるような政策をとったときに、果たして新しい大統領となるトランプが、はいそうでうか？とばかりこれを容認することになるのかどうかです。
安倍トラ会談の直前に行われた今回のオペレーションはどうやら実際の安倍、トランプの会談ではいきなり問題になるようなことにはならずに済んでいるようですが、ややもすれば日銀のやり口は不公平であるといわれかねず、為替操作国にでも認定されてしまうとここからの政策はまったく履行しにくくなってしまいます。
政権交代の端境期ということもあり、今のところ要人がドル高をけん制する動きはあまりでてきていませんが、「ドルインデックス」は年初来高値を超えて、なんと101台レベルまで上昇していますから、ここ数年でも最高値水準であることは間違いなく、早晩ドル高に対して異を唱える高官が登場するものと思われます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
