感謝祭ウイークで少しは価格調整も起こるのではないかと期待されているドル円ですが、ここのところロンドンタイムに調整しても、NYタイムの後半にはきっちりその値を戻す動きが明確になりつつあります。
価格の吊り上げを画策する連中がNYタイムに集中している証拠ともいえますが、米国債金の動向を見ていますとなかなか面白いことに気づかされます。今回はこの動きについてご紹介しておくことにします。
米国債金利はNYタイム後半に高まる傾向が明確
9日以降のひとつの傾向として見受けられるのが、米国債金利の時間帯別の動向です。
なぜかここのところ日本時間で午前4時ごろが近づくと、必ずといっていいほど金利が上昇する時間帯があり、債券金利に連動するドル円は東京タイムに高値をつけやすいようにお膳立てがされている気配濃厚となります。
本日は朝6時に大きな地震があったことから、リスク回避で一時的に円高になってしまいここのところの動きとはちょっと異なるものになっていますが、こうした東京タイムに向けた仕込みのような動きというのは、10月の東証の株価上昇のときにも一部見られたものです。
なぜか日経平均の先物がNYタイムに上がりだし、ドル円もこの時間帯から大きく買われて上昇したまま東京タイムにつながり、現物株の相場も高く維持されている中で、ファンド勢は新たな買いを入れながら持ち株を高値で売却し株価は維持したままの状態を作り出すという、限られた資金で利益をあげる、ある種のいかさま的売買手法を導入していたのを思い出します。
つまりドル円の上昇を画策している連中は日経平均でも利益を獲得しようとしているのではないかという疑問がつよく湧いてきます。
つくられた相場の賞味期限が早くなる気配濃厚
このやり口は、ほかに大きな相場変動要因がないからこそ仕組まれているとも言え、ここからは決算のファンドは手仕舞いをしはじめるでしょうから、ファンド勢といっても足並みは揃わなくなる可能性がでてきはじめています。
今月末で一旦手仕舞いを考える向きと、自分の首をかけて12月14日の「FOMC」の直前までがんばって利を伸ばそうとする向きとがでてくると、これまでのような単一方向の相場ではなくなる可能性も出始めているといえます。
ドル円は111円を超えて一気に走るかと思われましたが、東京タイムでは大きく走ることもなく反落し、ロンドンでは逆に売られて下値を確かめに行き、再度NYタイムに吹き上げて111円台の上を試すとうここのところお決まりのパターンが昨晩から本日にかけても展開されています。
ある意味で、ドル円が崩れ始めるとなればこのパターンがうまく継続できなくなるときではないかとも思われ、明け方の米国市場を早起きしてチェックするのは意外な収穫につながる可能性もでてきています。
テクニカル的にはまだ上方向がありそうだが物理的に無理か?
このコラムでは外資系ファンド勢が一体いつまで働くのかという内容も書いていますが、ドル円でいいますとプライスの問題もさることながら物理的な年末というタイミングも当然一定の制限を受ける要素になりそうで、意外にここから長く相場を引っ張れなくなってきていることも想定されます。
あまりにも簡単にドル円は上昇を続けてきていますから、さらなる上昇の可能性をすでにだれも否定できない状況になってきていますが、ロングを持ち続けてきた投機筋が一斉に手仕舞いをはじめますと、それなりの下落を加速させることになりそうで、当面は109.500円、その下では108.50円レベルまで下押しするリスクは想定しておきたいところです。
23日は日本もお休みですが、こうしたタイミングに思わぬ動きがでても損を出さないようにポジション管理を十分に行って臨むようにしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)