11月もいよいよ終焉を迎えようとしていますが、トランプが大統領に選出されたことをきっかけとして爆騰しはじめた相場のほうに一番驚かれたトレーダーの方が多かったのではないでしょうか?
結局のところこの動きはAIを実装した「アルゴリズム」による仕掛け売買であったことはどうやら間違いなく、初動でそうした動きを形成したことからNYダウの株価は一気に1万9000ドルを超え、年内2万ドルも視野に入る動きとなっています。
一方ドル円を中心とした為替相場は米系ファンドの買い上げによる独壇場の相場と化しており、これまでの抵抗線ベースの高値予想は悉く覆されるという猛烈な展開を継続中です。
危ないと思っている市場関係者がいるうちは下がらないドル円
自戒の念をこめて言えば、ドル円はこの2週間あまりで114円の手前まで上げるのはさすがにやりすぎだと思ってきましたが、もはやそういう状況ではないようで、かなり発想を変えなくてはならないのではないかと思い始めている次第です。
大方の市場関係者も上昇が早すぎで下落リスクに注意をしきりに言い始めていますが、個人投資家の安易な抵抗線レベルでの戻り売りが悉く刈られて相場がじり高になっているのは間違いなく、とにかく爆騰してほとんどのショートが切らされるぐらいまで相場が変化しないかぎりはこの流れは治まらない可能性が高まっています。
月末の終わり値が114.300円を超えると様子が変わる
これまで何度もこのコラムでもご紹介してきたドル円の月足20ヶ月移動平均線ですが、実はとんでもないことになりかかっているのがチャートを見ると理解できます。
これまで20ヶ月移動平均線から乖離してはるか下にいるはずだったドル円相場がすでにこの移動平均線を超えかかる位置にまで回復してきているのです。
したがって11月30日のNYタイムでこのラインとなる114.300円レベルと明確に超えてくることになれば、投機筋によって買い上げられただけに見えたドル円はトレンド自体が転換しかねないところまで状況が変化しているといえるのです。
それもそのはずで、2週間あまりですでに13円近く上昇してしまったわけですから、流れが変わるのはあたり前で、ここから短期投機筋が反対売買をするにしても115円台中盤やそれ以上の上げが月末、もしくはそれをさらに越えて12月いっぱい続くようならもはやその後の相場も下落には向かわないリスクさえ高まっている状態です。
とにかく時を争っているように見える米系ファンド勢
この11月米国債のロングの投げを大量に行ったのも米系ファンドであるといわれるだけに彼らは債券の損失をドル円の上昇でとりかえそうと暗躍しているようにも見えます。
今のところ口を開かぬトランプの動きを絶好の機会として、その就任前に株も為替もひと稼ぎしてしまいたいというのが本音なのでしょう。
感謝祭のそっちのけで相場の上昇に躍起になっているその動きを見ていますと、今年はクリスマスも返上でさらにドル円を持ち上げてくる可能性も否定できません。
まずは今月末に115円を超えることになるかどうかが注目されますし、12月はまだ丸々1ヶ月残っていますから、まさかの年内120円戻しもこうなるとまったく架空の話ではなくなってきています。
個人的には大局的に下落基調の中の一時的な戻しと考えていただけに、ここから本当に120円にまで戻るとなるとかなりのショックですが、相場転換がはかられてしまうとなれば個人の感覚よりもチャートのサインを重視して淡々と売買を継続させるほうが重要になってきてしまいます。
これまでになかなかこうした相場の動きを見たことがありませんが、「アベノミクス」のスタート時よりもさらに中身のない中で、無理やり押し上げられている相場ですから、怖いながらもついていかれるところまでは追随せざるをえない年末相場が到来しているといえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)