Photo内閣官房広報室
トランプ政権がスタートしても金融相場は素直に上昇を果たせない消化不良状態が継続していますが、一部のメディア報道では政府は2月上旬の日米首脳会談開催を目指し、安倍首相の訪米に麻生副総理兼財務相が同行する方向で調整を進めているとされています。
いまのところ「UK」のメイ首相との会談のほうが優先されているようですが、麻生氏の同行は米側からの要請によるもので、政府は日米の信頼関係構築につながると歓迎しているものの、財務大臣がクビを揃えて訪米するとなれば為替や貿易のことで何かけん制される可能性も高く、決してプラスになるイベントではない可能性も高まりつつあるようです。
ゴルフクラブを持って参上した甲斐は全くなし
11月にトランプ当選が決まってからいち早くゴルフクラブをもって面会に訪れた安倍総理でしたが、ほとんどこうした行為はなんの役にもたっていないようで、むしろ「アメリカファースト」が前面にでれば出るほど「ジャパンワースト」になりかねない状況に陥りつつあることがわかります。
特に具体的な話として米国からなにかクレームを入れられることになると、かなり為替にも影響がでることから、結構気をつけなくてはならないタイミングになってきているといえます。
トランプ政権本格始動というのに株も為替もさえない状況で、事あるごとに米国の保護主義が強まるのではないかと市場は異常な警戒をはじめており、ドル円も120円方向に上昇するなど夢もまた夢のような相場展開を示現されることになっています。
まさにSell on the factの状況ですが、それでは一体どこから買い戻してドル円は再上昇するのかという話しになると、どうも先が見えない状態で始まったばかりなのだから悲観する必要はないと言われるトランプ政権の政策にも一抹の不安があることは事実です。
米国から唆されたTPPなのに日本が勧誘する始末
もともと米国から執拗に調印を迫られたはずの「TPP」ですが、事前の公約どおりトランプはさっさと交渉から離脱を決めて書類にサインしてしまいました。
市場ではこうしたトランプの動きがさらに保護主義的な行動を加速させるのではないかといった危惧の念からドル売り円買いの材料にもなっているようですが、本邦サイドではすでに終わった話を我慢強く蒸し返して引き続き説得していくつもりの総理大臣がいるようで、こうした部分でも日米の政権に本当に親和性があるのかが気になる状況です。
為替について注文をつけられたことが公表されれば即円高
麻生大臣付の日米首脳会談はまだ具体的な日取りすら決まっていないようですが、これが実施された場合、日本の対応が不公正であると指摘を受けることが公表されれば瞬く間に円高へと相場がシフトすることになるリスクもあり、非常に注意が必要となりそうです。
特に「イベントドリブン」系のファンドは日米首脳会談にあわせてドル売り円買いをしかける動きを画策中との噂もではじめており、トランプ安倍会談で円高というのは冷静に見てもかなりありそうな話しになってきています。
国内のメディアや証券関係者、エコノミスト筋ではドル高の中で日米ともに経済が発展するという楽観的な見通しをもっている人が多いことに改めて驚かされます。
米国が保護主義を鮮明に打ち出す中にあってドル高だけは容認するとは考えにくく、とくに議会との交渉もなく、金をかけずにできる円安けん制がでればドル円相場の上値はかなり抑えられることになることから、このあたりの政治日程についても十分注意をすることが求められそうです。
どうもトランプ政権になってからかなり為替取引がしにくくなっているのは事実のようで、できる限り、リスクをとらない売買法を心がける必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)