為替市場というのは実に様々な材料で日々の上下が決まるものですが、我々個人投資家がまったく気にもとめていなかった材料でドル円の買いが抑制される結果となったのが「日本国債価格の下落」でした。
25日概ねすべての年限の日本国債の価格が急落し、金利が上昇したことがドル円でドル高を大きく抑制する結果となってしまったわけです。この背景には日銀の国債買い入れオペレーションの変化が大きく影響を与えています。
突然日銀が変えてきた国債の買い入れ対象
今回、日銀が買い入れの対象としたのは、償還までの期間が10年超25年以下と25年超の「超長期債」と呼ばれる国債であり、国債の中でも2年債や5年債などの「中期債」と呼ばれる国債が買い入れ対象に含まれなかったことが市場の思惑と異なったことがまず大きな原因となっています。
市場関係者はいつもどおりのパターンを想定していただけにいきなり中期債の買い入れがその対象から外されたことで大きな同様を招くことになったのです。
これまでの日銀の買い入れパターンから勧化得ると月6回が基本であり、市場関係者は当然今回も買い入れがあるものと思っていたたわけですが、それが無くなったことから今月は買いオペの回数が1回減る見通しとなってしまったわけです。
この月間の買い入れ回数は素人目にみるとそんなに大きなことのように思えませんが、実は「
黒田総裁」が2013年4月に異次元緩和を行ってから回数が減るのは初めてのことで、とうとう「テーパリング」をはじめるのかという見方が強まり市場に大きな動揺を与えることになったのです。
テーパリングに過剰反応したのは海外のファンド勢
月間の買い入れ数が1回減っただけで「テーパリング」なのではないかと大騒ぎするのは本邦勢ではあまり考えられないことですが、この「中央銀行」の「テーパリング」という言葉に非常に大きく反応するのが海外のファンド勢であり、このことがドル円を押し下げるきっかけとなったことはどうやら間違いないようです。
日銀の市場とのコミュニケーションを蜜にはかるつもりがあるのなら、あまり誤解を与えるようなつまらない操作はしないでいただきたいものですが、事前にもっと市場が納得するような説明がなされていればこうした行き違いや思惑売りなどがでることはなかったものと思われ、いまさらながらに日銀の市場との接し方に問題を感じる次第です。
ECBを含めて中央銀行の金融緩和終焉を感じ始めている市場
トランプ政権が誕生したことにより、「デフレ」が基本となっていたグローバル経済にも変化の兆しが現れ、日本を除く先進国では少しずつではありますが、「インフレ」の傾向も予測されはじえめており、「中央銀行」の政策にも変化が生じるのではないかと市場が感じ取っていることも今回のようのな過剰反応を生み出す原因になっているといえます。
25日の東京市場でも個人投資家は債券市場でこんなことが起こっているとはつゆ知らず為替相場がぱっとしないことにクビをかしげるだけでしたが、実はその裏側でこんなことも起こっていたのです。
後になって聞かされてみればなんだという話しに過ぎませんが、相場が動いたときにその背後にある理由というのはすぐにはわからないこともたくさんあり、当然一定のリスクを負うことになるわけですが、これは為替の取引にはある意味でつきものとなっていることですから、個人投資家はその場で持ち合わせている状況の中で判断しなくてはならなくなります。
当然間違った判断をしてしまう危険性は常に伴うことになりますが、どうも間違っていると思ったときには躊躇なく一旦損切りをして相場の外にでてからあらためて入りなおすという勇気も求められることになります。
我々は一般の社会生活上でもなんだかおかしいと感じることがあるものですが、こうした感覚というものは意外に正しいことが多くなりますので、一旦相場の外に出るという勇気も常にもっていることが重要といえます。