これまで準公的機関と思しき謎の買いが112.500円、112円を支え続けたドル円でしたが、とうとう三度目の正直の下押しでNYタイム終盤、日本時間の早朝5時ちょっと前に111.63円まで下落することとなりました。
直接の原因はフランスの大統領選挙の不透明感などとも報道されていますが、どう考えても10日の日米首脳会談の先行き不安が重石になっているのは間違いありません。
111円台に突入したドル円は果たしてどこまで下落するのか?ここから先の見通しについてまとめてみたいと思います。
時間がかかった112円割れ
今回もチャートで見ていますととうの昔に112円割れが示現しても不思議ではないわけですが、なぜかなぞの買いが下値を支える動きが連発し、やっとのことで112円割れを示現することができました。
東京タイムになるとここからさらに下押ししてもそれなりの買いも入りそうな状況から一旦は112円方向に「ショートカバー」することになるのかも知れませんが、まだまだ下値余地はありそうな気配です。
すでに昨年11月のトランプ勝利の101円10銭台から12月15日の118.665円までの上昇の38.2%押しは112円割れで示現してしまいましたので、ここからは2分の1押しとなる109.924円、ざっくり言えば110円レベルまでの押しは想定しておいてもよさそうな状況です。
ただ、ここからも一気に下落するかどうかはかなり疑問で、一旦は111円、110、500円と区切りのいいところでひっかかる可能性が大きくなりそうです。
為替操作国であるとトランプからけん制されている矢先に「GPIF」あたりがどの位根性を入れて下値を買い支えるつもりがあるのか判りませんが、ある程度下押ししたほうが本当は戻りも出やすく、余分な買い支えはしないほうがドル円のためにはいいものと思われます。
今ごろアストロの「アノマリー」を持ち出して恐縮ですが、11日は満月で円高になりやすく、なんらかの決着がつくことになれば会談前が最大の安値で翌週は噂で売ったものを事実買いする相場になることも想定して臨みたいところです。
メディアの報道では仲がいいのか悪いのかわからない安倍トラ
首相官邸HPより
事前の報道では安倍さんがAir Force1に乗せてもらってフロリダでゴルフをするとかイヴァンカ様が安倍さんはクレバーで信じられる存在だとトラ様に進言したとか、嘘か本当かよくわからない情報だけが出回っていますが、まだ朝貢外交が功を奏すると決まったわけではありませんから、トランプツイートを含めてきつい発言が飛び出せばあっという間に1円程度の下落は見ておく必要がありそうです。
トランプが何を言い出すかわからないと市場が身構えてドル円を売り飛ばす体制に入っていること自体がすでにトランプの勝ちのような気もしますが、2月11日以降に落ち着くであろうドル円の水準というものにも注目してみたいところです。
どう考えてもドル高をけん制されているわけですから、トランプが就任した時点の115円を越えた水準にするする戻すとは到底考えられず、ここから新たなレンジが形成されることが想像されます。
110円~115円というレンジは比較的市場も納得しやすいレンジとなりそうですが、トランプが具体的に100円といった為替水準に言及するようなことになればもう少し低い水準まで巻き込んだレンジになることも予想される状態です。
これまで米国の大統領から具体的に為替水準にまで言及されて脅かされたことはないだけに一体どのような決着がつくのか非常に興味のわくところでもありますが、国内メディアが想定しているほど和気藹々とした会談にはならないのではないでしょうか?
昨年11月にのこのこゴルフクラブをもって参上した甲斐がまったく無かったことを考えると、そう明るい未来が待っているとも思えない状況です。
残念ながら2017年のドル円は典型的な政治通貨ペアになってしまったようで、ここからの取引は一層難しさを伴うものになりそうで、一筋縄では儲けを出せない時間帯が当分続きそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)