週明け、理由もはっきりしないまま112円台に低迷したドル円はようやく113円台に復帰することとなり21日の市場では70銭程度の値幅が久々にでる相場となりましたが、それにしても動意は限られており、およそ売買に適した相場状況ではない動きが続いています。
そんな中で「FOMC議事録」が登場する23日あたりから相場に新たな展開がでるのではないかとの期待が高まっています。
一目均衡表の雲から飛び出すドル円
「ファンダメンタルズ」だけではどうにも動きがよく判らないときには、やはりチャートを精査してみることが次の動きを占う上で大きな材料になるわけですが、ここへきて多くのトレーダーが関心を示しているのが一目均衡表の雲の動きです。
このコラムではあまり一目均衡表を利用して相場を説明することはありませんが、二次元でありながら先行きを想定できるものとして有効なのはやはり一目ということになり、特に本邦の投資家は株とドル円で一目を見ている可能性がきわめて高いのが大きな特徴ともいえます。
その日足の一目均衡表で見ますと、「FOMC議事録」が公表され23日あたりからいよいよ持ち合いを離れ雲から実体が飛び出してくるタイミングが近づいてきていることがわかります。
また3月の初旬には雲のねじれも想定されており、テクニカル的にはここから何かの動きがでることが非常に強く予想される状況です。
上抜けばかりとは限らないドル円
2月28日にはトランプ大統領の議会証言もありますし、期末を意識すれば通常はドル円は上昇を期待したい時期ではありますが、果たして本当に上方向に動くかどうかはまだ断定できない状況です。
まず日本時間の23日の「FOMC議事録」開示においては、利上げ時期も注目されますが、それとともに「バランスシート」の縮小が本格的に語られていたりすることがあからさまになりますと、かなり状況はよろしくない方向に向かう可能性がでてくることになります。
この時期「FRB」が「バランスシート」の縮小に乗り出すようなことがあれば株価への影響は避けられず、そうでなくても利上げが市場に与えるネガティブな状況が危惧されるなかで、さらにそれに拍車をかけかねないものになることには相当な注意が必要です。
また28日のトランプ議会証言も自ら凄い減税になるといった中身が口ほどでもない場合には事実売りが出てくる可能性もあり、現時点では上昇と下落の両方向で相場を考えておかなくてはならないところにさしかかってきています。
投機筋がしきりにオプションを相場の上下に買ってどちらに動いてもいいように対応しようとしているのはよく理解できる状況で、多くの市場参加者がどちらに動くか判らないと思っていることだけはどうやら間違いなさそうです。相場が閑散として様子見なのもある意味ではよくわかる状況です。
したがってまずは23日午前4時の「FOMC議事録」発表後からの相場の動きに注意していきたいと思いますし、28日をきっけけとして相場が動くのであればここからは順張りでついていくことを考える時期にさしかかってきているといえます。
投機筋のドル円ロングはかなり減少しつつありますが、それでも一定の買いもちをしている向きは依然として存在しており、こうした投機筋が本格的にドル円を投げる動きにでれば110円方向に相場が下落するのはそれほど不思議な状況でもなくなりつつあります。
トランプ政権は閣僚が承認されるにつれてその雰囲気が結構変わろうとしているようにも見えますし、なにより実務派が本格的にイニシアチブをとりはじめると、トランプが醸し出してきた矛盾の多い内容が修正されていく可能性も否定できません。
これまでのところ選挙公約はかなりしっかり守る姿勢を見せているトランプですが、議会の承認が絡む内容でどこまで当初の発想を貫けるのかに大きな関心が集まるところです。
ここでしくじると事実上出鼻をくじかれることになりかねず、この先の相場にも大きな影響を与えることになりかねませんので、来週は大注目の週になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)