期待された「FOMC議事録」ですが、多くのメンバーが「雇用とインフレとめぐる指標が予想通りに推移すれば比較的早期に利上げを実施することが適切になる可能性がある」との認識を示しただけの記述になったことから、夏までの利上げの可能性は高くなったものの、3月を確定するような文言がなかったことから売られる結果となりました。
むしろこの日のNYタイムはフランスのルペン国民戦線党首の側近が事情聴取のために身柄を拘束された報道でユーロが買い戻りとなり、ユーロ円の大幅上昇からドル円も一時113.500円超まで買い戻されたほうが大きな動きとなってしまい、逆に「FOMC議事録」で113円割れまで下落するというなかなか激しい上下動が繰り返されることとなってしまいました。
「FOMC議事録」をきっかけにしてドル円が上昇への流れを明確にするかもしれないと期待されましたが、どうやら2月28日のトランプ大統領の議会証言までお預けの状況になりそうです。
しかし市場ではフランスの「ルペン」が大統領になるかもしれない、ということに関するリスクは想像以上に高まっていたようで、架空の議会アシスタントを雇用した疑いについて聴取するためルペン氏の側近2人が拘束されたことでドルが大きく売られることとなったのが印象的でした。
もちろんこれで全ての芽が無くなったわけではありませんが、フランス大統領選のリスクが消えればユーロの動きにも変化がでることとなりドルにも少なからず影響がでてくることが考えられそうです。
ドル円の上昇はかなり怪しい雰囲気に
22日のドル円はアジアオセアニアタイムの早朝「113.700円」レベルからスタートしたものの、東京タイムでは株の下落なども嫌気してどんどん下落を進め、一旦「113.328円」で止まりショートがたまりすぎたのか一旦「ショートカバー」をしたあとロンドンタイムでまたしても下落を開始することになりました。
NYタイムに入ってからはあっさり113円を割り込み「112.901円」まで下げる場面も見られ、かなり上値が重たくなってきていることがはっきりとわかる状況です。
NYダウは相変わらず史上最高値を更新中ですが、為替のほうは驚くほどの減税という言葉だけでは相場を上昇させるだけの力を失っており、実際のどのような内容がトランプ大統領から打ち出されるのかにかなり関心が高まりつつあるようです。
但し、トランプ政権の減税はまず先に財源を確保するために国境税(平均20%程度の関税とみられる)を定義しなくてはなりませんし、なにより事前の選挙公約に織り込まれてきたオバマケアの廃止による財源の確保が理路整然とできていないことには減税の履行にこぎつけられないため、実はかなりハードルは高いです。
2017年中の減税は完全に不可能であり、今はなんとか2018年に実施できるかどうか、いきなり瀬戸際に立たされている状況ですから、減税の前に国境税やオバマケアの扱いが嫌気されるようなことになれば、失望売りも十分に考えられ、議会演説だからドル円も上昇とは行かないリスクも相当高まってきている状況です。
こうして考えますと2月28日のトランプ演説を受けた相場の動きはかなり重要なものになりそうで、現状ではどうなるかわからないだけにポジションはスクエアにして様子をみながら動いたほうについていくというやり方をとったほうがよさそうな雰囲気になってきています。
今後の日米の金利差から考えればドル円が円高になると想定するのはかなり難しいものがありますが、政治的にも左右されやすいドル円相場はそう簡単には割り切れない状況が示現する可能性も考えておかなくてはならないようです。
3月にむけて下落の方向をたどると考えるのにはかなり抵抗感あがりますが、現在の持ち合いを下離れた場合には再度110円方向を狙うことが考えられます。
足もとの相場が113円レベルですから下押しとなってもそれほど大きなものではありませんが、よほど材料が揃いませんと115円を超えていかれない感じがかなり強まっているといえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)