27日のNYタイムもトランプ大統領の大規模インフラ投資や軍事費の増大など、原資のはっきりしない投資に対する大言壮語発言でドル円が大きく買われ「112,800円」を超えるレベルにまで上昇したのが目立つ動きとなりました。
確かにトランプ発言を受けると10年債金利は上昇するのですが、明らかに昨年末に比べると頭打ちの状態で、米国の投機筋の間ではなんとも気味悪い展開であると先行きを注視する動きが強まりつつあるようです。
株価と一緒に上昇しなくなった米国債金利
昨年末までは株も債券金利も同時に上昇するという凄まじい相場展開でしたが、ここへ来て株価は連騰を繰り返しても米国の10年債利回りは明らかに頭打ちの状態が継続しており、為替の動きに関してはこの債券金利の動向次第の状況になってきていることがわかります。
3月1日のトランプ演説を経てこの金利動向がどうなるのかによってはドル円の動きもかなり見えてくることになりそうで、当座の為替の動きよりも金利の動向に注目していきたい状況です。
新債券の帝王「ジェフリー・ガンドラック」はさらに米国の10年債利回りが低下すると見ているようで、確かに債券の売られすぎが解消に向かえばそれなりの金利低下は止むなしといった動きになりそうです。
トランプ演説後のドル円は114.900円~110円レベルで推移か
相変わらず「アルゴリズム」も相場では動いている関係もあって、トランプ発言で大きな話しがでれば為替相場もドルが買われる動きが継続中です。
しかし、3月1日の大統領演説ではかなり前向きな内容が発表されたとしても議会での承認のめどが立たない、あるいは政策原資が見当たらないとなると一時的に上昇した相場もそこで打ち止めになる可能性が高く、東京タイムは瞬間的な動きがでるとしても問題はこの週後半までに相場がどのように反応するかを注意深く見守る必要がありそうです。
昨年11月の大統領選ではトランプ勝利で相場が下落しはじめたのについて行って損失を被った個人投資家の方も多かったことと思いますが、今回は逆に上昇すると思ったら下落に転じるというリスクのほうにも相当気をつかう必要がでてきそうです。
実際にトランプ政権は減税やインフラ投資のための原資を確定するためにはまずオバマケアでどの位の費用削減ができるかを確定させる必要に迫られており、国境税調整については議会承認を経る必要があることから、議会も周辺のことを片付けないと本丸の減税を議論できないというなかなか厳しい状況に追い込まれています。
ここからはトランプが吼えただけでは相場は動かな状況になりつつあることをしっかり認識する必要がありそうで、市場がもっとも期待する減税がどの程度の遅滞をきたすことになるかを見極めればそれ相応の失望売りがでることも考えられる状況です。
3月にFRBが利上げすれば市場には大きな番狂わせが示現
ここへ来て「FRB」の要人の発言が活発化していることから、依然として3月ないし5月に利上げの観測が高まりつつあろうのも気になるところです。
ダラス連銀のカプラン総裁は「FRB」はインフレ対応で後手に回らないよう、近い将来に利上げする必要があるだろうとの認識を示しており、これを受けてCMEグループのFedWatchでは、フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む3月利上げの確率は33%と、前週末の27%から上昇を始めています。
今のところ3月利上げの可能性はかなり低くなっていますが、「FRB」が利上げを急ぐ動きに出た場合には、株式市場がそれに応えられずに株価が下落をはじめ、ドル円はその下落の動きについていくリスクを心配しなくてはならなくなりそうで、こちらの動向からも目が離せない状況です。
表面的にはトランプ演説だけが注目されていますが、実はその裏側をよく見通していく必要に迫られる一週間となりそうで、今週の株と為替の動きがここからの相場の方向性をかなり示唆するものになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)