「ラリーウイリアムズ」といえば、商品先物と株式のトレーダーとして50年以上の実績を持ち、独自の分析視点をもっていることでも有名な存在です。
国内では最近ラリーTVなるものも有償でみることができるようになっているため、改めてファンができつつあるようです。
このラリーの分析内容は商売ものですのでここで細かく明かすのはルール違反になってしまいますので割愛しますが、彼の直近の指摘で面白いと思ったのが金とドル円の動きです。
ラリーによればこの「ドル円と金、米国の債券の動きが完全にシンクロして推移しつつある」というのです。ということで早速実際のチャートを眺めて見ましたので今回はこれをご紹介することにします。
チャートを天地さかさまにしてみたらぴったり一致
出展チャート広場
最近の金の推移をご覧になったことがあるでしょうか? 昨年11月のトランプ相場が走り始めたあたりからの金の動きは上記の推移になっています。
これだけ見ると何処がドル円と連動感があるのかという気がするのですが、実は天地を逆さまにして、つまり裏返しで相場を見てみますとこれが実はドル円とほとんど同じ動きをしていることがわかるのです。
これがこのチャートの比較になりますが、金が高くなるとドル円は安く、逆に金が安く推移しているときには見事にドル円の動きが連動していることがわかります。
まあよくこうしたことに気がつくものだと思いますが、恐らく彼はドル円ではなく円ドルベースのチャートを見ているからこそ金の推移と同じだと気がついたのでしょう。
足もとでは材料で尽くしで金曜日の「米国雇用統計」までは今の膠着相場が継続しそうな気配濃厚ですが、この先動きがわからなくなりそうなときには金の動きを意識してチェックしてみると流れが読めてくる可能性がありそうです。
ここではご紹介していませんが、実は米国の債券の10年債の売買もドル円と非常にシンクロしていますから、この3つが市場の先行きを探るひとつのポイントになりそうな状況です。
ドル円は円高傾向なのか?
誰もが気になるここから先の動きですが、どうもドル円は上昇というよりは円高に動くのではないかという分析結果が漂って来ています。
ドル円の一目均衡表 日足の先行きを見てみますといよいよ雲がねじれる形になり、よくも悪くも相場が雲から抜け出る状況となります。これが上方向に抜けるのか、はたまた下に押し戻されて雲の下に推移するかで、上昇か下落かが決まることになりそうですが、材料的には利上げも含めて出尽くしの感がありますから、ややもすれば下方向に推移することも覚悟しておかなくてはなりません。
今の相場の材料からいけばここから雲を突き抜けて116円方向に上がるとは簡単に思えないのが現状で、果たしてどういう動きが来週以降現実のものになるのかが非常に注目されるところです。
ただ、下落方向に向かったとしても113円台の前半から下抜けしたあたりをうろうろすることになれば、レンジの下限程度の推移の話しですから、それほど大げさに下落するという動きにはならなさそうでもあります。
とにかくドル円相場は方向感をすっかり無くしてしまった感があり、大きな利益を取れる動きにはなっていません。無理せずに短い時間足で利益を積み上げるしかないのかも知れませんが、それにしてもトランプ相場の第二弾を期待していた向きにとってはかなりぱっとしない展開になっていることは事実です。
ユーロもオランダの選挙からフランスの大統領選を含めて不透明感が強く毎日のメディア報道で一喜一憂する動きを強めていますので、ちょっとやりにくい感じで、桜が咲くまではあまり無理せずに控えめに売買していくのがいいのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)