本時間16日の午前3時に開示された3月の「FOMC」は大方の市場の予想通り0.25%の利上げが実現しました。
注目されたドットチャートは年3回の利上げを示唆しており、しかも「イエレン議長」が利上げはきわめて緩やかにといった「ハト派」発言をしたこともあり、ドル円は売られ、米国債は買い戻しとなったことからドル円は一気に113円台前半を推移することとなりました。
本邦個人投資家大好きな日足一目均衡表ではまさかの雲下抜け
3月9日にねじれが発生し、その後のドル円の動きが注目された日足の一目均衡表ですが、一瞬115円台に突き抜けて上方向に抜けたかと思った相場は今回の「FRB」の利上げのおかげで逆のねじれた雲を下抜けるというまさかの動きになってしまい、ここから雲の中に戻れるのかそのまま雲の下限に邪魔されながら下方向に移動することになるのかが注目されるところです。
材料出つくしでドル円は売り、米国債は利率低下となっているのは個人投資家にとってはよくわからない動きに見えます。
しかし、結局111円台から無理やり買い上げてきた投機筋がここへ来て買いポジションを投げてきているのに加え、たまりにたまった米国債10年ものの売りポジションを買い戻す動きが急激に高まっていることから金利は上がってもドル円は上がらず、国債金利は下落するという不思議な相場が示現することとなっています。
しかも金利下落を好感して株価は利上げお構いなしに上伸するという状況ですから、何これ?相場と言ってもいい動きになってしまっていますが、年間3回の利上げも明確になっていますので本来はドル円は上昇、かつ米国債券金利も上昇してしかるべきで、株価にはネガティブなインパクトがかかることになるのは間違いありません。
政策金利発表後のイエレン会見はハト派に逆戻り
今回の「FOMC」政策金利発表後の「イエレン」会見はまたしても「ハト派」満載の口ぶりで利上げペースは穏やかにと「バランスシート」の縮小もそのうち具体的に考えることになるとしただけで具体性には欠け、なぜ3月に慌てて利上げに踏み切ったのかの理由は相変わらずさっぱりわからないままの状況です。
さしたるインフレも到来していないにも係わらず6月にやれば済む利上げを3月に無理やり前倒しした理由はもっぱら「イエレン」自身の問題に絡んでいる気がしてならない状況です。
つまり来年には任期切れで再任されないことがわかっているなかで、トランプの息のかかった理事や副議長が投入される前にとにかく利上げを急いで最低限金利の正常化だけはなしとげておきたいというきわめて個人的な理由がこの動きを示現させているのではないかと思われるわけです。
実際ここからの利上げが年3回のレベルで実施できるかどうかはまだよく判りませんし、欧州情勢を含めて阻害要因が多数飛び出す前にとにかく利上げしておきたかっただけではないかと勘ぐられても仕方ないのが実情です。
無理やり利上げのツケを払うことになるのはこれから
0.25%の利上げなど実際問題としては大したインパクトがないように思われますが、長年の「ゼロ金利政策」があったからこそ株価も上昇してきた相場だけに、ここからの利上げはボディブローのようにずしりと相場にネガティブなインパクを与えることになりそうです。
株価も短期金利だけが妙な上がり方をすれば必ず上昇を阻まれることになるのは間違いなく、なにかの拍子に大きく下落することになれば結局「FRB」が暴落の引き金を引いたことになり「イエレン」の責任が問われる時期がやってくることになるのではないでしょうか?
この時期の利上げは決していい印象がもてない雰囲気となってきています。まだここから様々なイベントに見舞われる16日ですから、ドル円がどのように動いていくことになるのかが大きく注目されますが、なんとなく大きな上昇には繋がらなさそうな動きになってきているのが気になります。
(この記事を書いた人:今市太郎)