市場で大きな注目となった週末の「G20」は結局のところトランプの主張する「保護主義的」な政策を排除することができず、ある意味で追認するかのような歪んだ声明を出して終りになりました。
米国がごねるとすっかり参加国も配慮せざるを得ない状況を見ていますと、やはりトランプの出現というのは相当な影響を及ぼしており、金融市場が米国の動向一色で動いているのも改めてうなずけるものがあります。
しかしここまで米国に配慮するとなると一体何のための会議なのかという気がしますし、今後「G20」の役割は益々低下していくことが予想される嫌な感じではありますが、為替に関しては特段大きな変化を感じさせる表記はなく、これだけで月曜の朝大きな窓空けになるとは思いにくい状況ですが、ドルを買い上げる材料が極めて乏しくなりつつあることもまた事実です。
ここへ来て米国債と米国株がまた同時に買われる展開が散見されはじめていることについて同氏がこうしたマネーは「ECB」の資産買い入れや日銀の量的緩和を通じて米国に流れこんできているもので、米国の「FRB」が金融引き締めに動いても結局「ECB」と日銀が緩和をしているうちは大きな流動性が維持された状況になっているというのが彼の見方です。
したがってこの先「ECB」が「テーパリング」を始め、日本の10年債金利の無理やりの低利政策のギャップが外れた途端に債券市場は世界的に大混乱に陥るというのが彼の見方になっているのです。
またその一方で米国の利上げの継続はかなり緩やかになることから「FRB」の「金融政策」については心配はないとも語っています。
日欧の中銀による緩和終了が相場暴落の引き金を引く
こうなると「ECB」と日銀が緩和政策の出口を探し始めた途端に相場が逆展開する可能性が高まりそうで、相場がおかしくなるのは「イエレン」による利上げではなく「ECB」と日銀となるという見方は確かに正しそうです。
日銀が果たして短期間に出口を模索するような動きに出れるかどうかはまったくよくわかりませんし、ひとたびその動きが顕在化しただけで、米国の金融市場より先に日本の株と債券の市場が猛烈な売り浴びせを受けてしまいそうで暴落は日本発になりそうな気もしますが、「ECB」のほうは確実に出口戦略をとることは間違いなさそうで、「ビル・グロス」もここ数ヶ月はないだろうとはしながら、秋口までになんらかの動きがではじめた時には相当注意をして投資資金も一旦手元に置いて暴落時にうまく利用できるように準備をしておく必要がありそうです。
月末に向けて上がるかと思ったドル円は逆に下落に注意
さて、足もとのドル円ですが、どうも月末に向けてはすんなり上昇軌道には乗らなさそうな気配でまずは112.500円を明確に割り込むかどうかが注目されます。
これを切ってしまった場合には111円台の中盤を再度試しにいくことになりそうですが、上昇支援材料がないとは言え大きく売り込まれる理由も特別はっきりしたものがないだけにレンジ相場は依然として続くことが予想されます。
ここからの下値では買い意欲も多くなることと思われますので、まずは下げがどこになるのかを見極めて対応する週になりそうです。
しかし「FOMC」以降の短期間のドル円の上下動は結構巻きこまて損切りを余儀なくされたトレーダーが多いようで見た目以上に相場は傷んでいる気配濃厚です。
積極的な相場展開がなければ低位を維持した横展開に留まる可能性もあり、いずれにしても大きな動きがでるようには見えなくなってきているのが現実となりつつあります。
3月も残り2週間ということになりますが、具体的な市場のテーマがどこにフォーカスされるか次第でこの先のドル円の動きにも影響を与えそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)