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とうとう111円台中盤さえ回復できなかったドル円は、22日のNY市場で111円台を割れ110.730円台まで下落することとなりました。米国の株式市場が大きく下げた影響や米国債金利がさらに下落するという条件下で当然のようにドル円も年初来安値をつける形となりました。
しかしその後は大きく走るという形にならず2回ほど下値レベルを試したものの、111円台に回復してNYタイムを終了しています。
米株式市場の軟調でドル円がリスクオフだけではない可能性も
メディアの報道では米国ではオバマケアの後となるケアプランの議会の通過が難航しており、それを嫌気して株価が昨日から下がり始めているという報道がでています。
銀行株がとりわけ総崩れであったりすることを考えますと、本当にポストオバマケアの問題からトランプ政権の政策が進まないのではという懸念で相場が下げ、そのご相伴をドル円があずかっているのかどうかは正直よくわからない状況といえます。
どうも後から下落の理由を見つけてきているだけのようにも見えて、ディテールで説明がつかない印象が強いのがなんとも気になるところですが、確実にいえるのはドル円は米債券金利が下落しているからそれにあわせて下げていることは間違いなく、本邦企業の期末の調整的レパトリがそれなりに出ていることが下押しの原因になって米国の株式市場の下落でさらに下押ししているだけなのかも知れません。
相場の解説者はなにか言わなければ収まりがつかないため一定の下落理由をしきりに作りたがりますが、実際は必ずしもこうした後講釈とは違う原因で動いていることもある点はあらかじめ認識しておく必要がありそうです。
相場の下落は往々にして複合的な理由が重なっていることもあり、そう単純ではないことが多いのです。
引き続き継続するレンジ相場
足もとのドル円の動きだけでいよいよ下落トレンドに入ったと見るのはさすがに時期尚早の感があり、レンジ相場の上下幅が下にずれてきている状況と見ておいたほうが無難にみえる状況です。
すでに110円台に突入しているだけに110円ジャストのあたりまで下落することは十分に考えられますが、今の材料の中でドル円がここから110円を大きく割って100円方向に動くほどの状況にもみえず、突込み売りはできるだけ避けるべきではないかと思います。
3月最終週は金融機関も年間の収益を確定させるために余分な動きをとらなくなりますから、投機筋がよほどの仕掛け売りをしない限りはドル円が単体で大きく下げるとは考えにくい状況です。
市場では115円を超えると118円を抜けるという見通しが走り始めますし、110円台に下落したことから110円を一気に抜ける話しも飛び交い始めていますが、足もとでは米国債が売られすぎから買い戻されていることだけは事実であり、また米株が高くて長期投資上バリュエーションの問題からとてもではないですが、ここから購入できる状況でないことが債券に改めて資金も向かわせている可能性があり、債券を購入している「投機筋」はドル円が金利下落で下げることをあらかじめ判っていて売っている可能性もありそうです。
年度末ならではの特別な動きにも引き続き注意が必要
いよいよ年度末が近づいていますので、今週後半はこれまでにはない特別な動きが本邦勢からさらに出る可能性もあり、かなり注意が必要になりそうです。
ここからはさらに下値を探る動きが出る可能性もありますが、あまり下落についていくとショートが溜まりすぎたときには大きくはねることもありますので、無理をしすぎないことが重要になります。
ただ、113円台はかなり重くなってしまった感があり、下値を買ってもそれほど大きくとれるような状況ではないことは認識しておく必要があります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
