ドル円は結局年初高値でずり下がり
国内のFX投資家の約8割近くが売買していると言われるドル円を改めて見て見ますと、今年は年初が最も高かったわけですが、その後ずるずると値を下げ、とうとう3月後半には110円ぎりぎりのところまで下値を試しに行っていますので、最高値からはすでに8円近い下落になってしまっていることが改めてわかります。
昨年は20円以上、上下したドル円ですが一昨年は10円強の動きでしたから、今年もたった3ヶ月だけで結構下方向に動いたことだけは間違いありません。
ドル円を売買する個人投資家の多くがロングで上昇を期待していますから、下げればそれなりに買いもでてくるのがドル円の大きな特徴といえます。
しかし、大きくこの相場を上昇させるだけの材料が見当たらないだけに、今年の最高値は年初の118.600円レベルになりかねない状況で、仮にこれが今年の高値として考えれば、10円の値幅で考えてもさらに2円、昨年同様20円の値幅ならば100円割れまでは下値を見ておいてもおかしくないところにさしかかっていることがわかります。
ユーロドルは結果的に上昇
一方ユーロドルですが、なにかとユーロが売られやすい材料が多いものの、この3ヶ月で見て見ますと結果的には上昇して終わろうとしています。
政治的な材料だけから見ますとなかなか買いにくい通貨ペアであるにも係わらず、今年年初から1.03に迫る下落をみせたことからいよいよパリティかと思わせたものの、直近では「
ECB」が緩和措置を終了するのではないかとの見方が強まり、ドルが弱含んでいることからさらに上値を試しかねない状況になってきていることがわかります。
もちろん4月にはフランスの大統領選挙も控えており、一方的に上昇を期待できる通貨ペアではありませんが、下げと断定してしまうと結構痛い目を見そうな動きになっていて、デイトレのような世界で売買するのではないとなると実は手が出しにくいものになっているといえます。
ただ上下に2往復する途中のレンジ相場にも見えますので、油断は禁物で材料次第ではまた下落してくる可能性は十分にありそうです。
材料はいろいろあっても結局米国の金利で相場が動いている
市場では後講釈として実に様々な要素が相場の上下の材料として語られていますが、よくよく見回して見ますと米国10年債金利がもっともドル円、ユーロドルに影響を与えており、3月の「FOMC」の利上げまでは金利上昇が続いていたものの、その後は大きく金利が下落されており、それまで異常とも思えるぐらい積みあがった米国債の売りが買い戻されることで金利が下落していることが足もとのドル円、ユーロドル相場を示現させる材料となっていることがわかります。
とくにドル円の米国債金利との連動感は半端ではない状態で、先行きがわからないときにはこの債券金利を5分足あたりで見ていますと上がるのか下がるのかの見当がそうとうつくようになってきています。
米債券から株へのグレートローテーションはおしまい?
3月「FOMC」以降は株も買われるものの債券も買われるという不思議な状態が続くことになりました。
結果的にはこれからどんどん金利が上がりそうだと言う「
FOMC」のドットチャートが開示されているにも係わらず金利は上昇しておらず、強い景気状況における金利の動きとはちょっと異なるところに市場も懐疑的になっているようで、オバマケアの代替案が採決できなかったことなどでは説明のつかない動きが見られる点は注意が必要です。
為替市場ではここのところ、またしても短期の投機筋が一気にドル円を売り込もうとして今週2回下落を狙ったもののうまく崩すことができず、「
ショートカバー」でだけ値を戻すというわかりにくい展開になっていますが、消化不良の感が強く4月以降に再度下を試すかどうかが注目点になりつつあります。
本来「
政策金利」の差が明確になればドル円はドル高になるのが当たり前のように語られてきましたが、過去20年近くを見ますと金利差だけでは動いていないがドル円の特徴であり、リアルな債券金利のほうがよりその実体を示しているともいえます。
今年これから相場が上がりそうか下がりそうかを必死に占ってもあまり意味はないですし、妙な先入観を持たずに相場の動く方向についていけばそれなりの利益はいつでも確保できるわけですが、ドルはなんとなく上昇しにくそうな雰囲気になってきていることだけは強く感じられます。