実質4月入りした金融市場ですが、米国の景気回復は「リーマンショック」以降なんと94ヶ月目に突入しており、これまでの平均58ヶ月を大きく上回る状況が続いています。
これまで最低10年に一度、最近ではより短い期間で暴落が起きる米国市場は、ここからはいつ大きな相場下落が起きてもおかしくない時期に突入しようとしています。
暴落の前兆というのは、なぜか猛烈に相場が上昇方向に走ることになりますから、米国の株価を見る限りはまだそこまで危機的な状況には至っていないように見えますが、VIX指数をはじめとしてリスクを市場がまったく織り込んでいないことだけは間違いなく、何がこの相場暴落のきっかけになる、いわゆる「テールリスク」となるのかが非常に気になる時間帯にさしかかってきています。
日欧金融当局の緩和終了はかなり大きなリスク
足もとの相場で米国が利上げしたにも係わらず、米国の株式と債券が並行して買われているという状況は、やはり欧州と日本が引き続き金融緩和を実施しているために行き場を失った資金が米国に還流してきていると見る専門家は非常に多くなっています。
裏を返せば欧州「ECB」、ついで日本のBOJが緩和措置を終了することになればかなりの資金が米国から逃げていくことになり、実はこれが相場の大きな下落を巻き起こす日欧発の「中央銀行」バブル崩壊になるのではないかという見方も出始めています。
欧州が緩和を終了するとしても日本の場合は簡単に緩和終了を口にした途端に株も債券も同時に売り込まれて大変なことになるのは目に見えていますから、日本が先に引き金を引くことはないと思われますが、世界的に金利が上昇する中で一国だけゼロ金利と「マイナス金利」を延々と続けるわけにはいかないのも事実で、実はテールリスクはこのあたりにある可能性もでているのです。
まさかの米国・北朝鮮先制攻撃
もうひとつ気になるのは、米国のトランプが北朝鮮にかなり頭にきており、北の核施設を先制攻撃で空爆により破壊する可能性の問題です。
連日米系のメディアはトランプがこの引き金を引く可能性についてかなり頻繁に報道をしはじめており、ティラーソン国務長官がこの3月に日本、韓国、中国を歴訪したのもそれを調整したのではないかとの憶測記事も多く見られるようになっている点が気になります。
空爆ですべてが解決すれば湾岸戦争のように一瞬でかたがつくのかも知れませんが、北朝鮮が報復攻撃を行えばその被害が周辺国に及ぶ可能性は否定できず、日本にもどれだけの被害が及ぶかはまったくわからない状況です。
なにより国内の金融市場は「地政学リスク」といっても海を隔てた隣国で戦争状態に直面するというのは実に朝鮮戦争以来ですから、株式市場や為替市場が「リスクオフ」になるとどれだけ日本株が売られドル円も同時に下落するかは見当がつかない状態で、こちらもとんだテールリスクになることが予想されます。
日本ではこうした報道はほとんど見られませんが、政策面の実行が必ずしもうまくいっていないトランプなら北朝鮮に手を出すことで人気回復に努める可能性は否定できず、4月の米中首脳会談後の米国の動きが気になるところです。
7のつく年はろくなことがないというアノマリー
相場の暴落には様々な「アノマリー」がありますが、市場で語られているのは7のつく年はろくなことがないというものです。思い返せば2007年に「サブプライムローン」の問題があり翌年「リーマンショック」が起きていますし、1997年はアジアの通貨危機が巻き起こっています。
また1987年には「ブラックマンデー」の大暴落が起きているだけに、確かに不吉度でいうと2017年はかなり高いことがわかります。
今年もその「アノマリー」が機能することになるのかどうかはよく判りませんが、無理やり金利を上げる動きを「FRB」が断行してみたものの、米国の実体経済はそれほどいいものではなく、しかもトランプ政権の政策が必ずしもうまく機能しない可能性を考えた場合、この金利上昇もかなり余分な相場下落の材料となりかねず、ここからは夏場すぎまでにかけて本当に相場の下落を意識しなくてはならなくなってきているように見えます。
(この記事を書いた人:今市太郎)