新年度入りした為替相場ですが、東京タイムの動きはきわめて限定的であり、一旦は112円まで戻したドル円も上値はかなり重たくなっており112円台に戻るのもかなり厳しい状況が続いています。
ところで市場では国内外から米国がまさかの「北朝鮮空爆」により核施設を攻撃するのではないかという観測報道が高まりつつあります。
たしかにトランプ大統領は相当北朝鮮に激怒していると言われており、こうした動きがすでに3月にティラーソン国務長官が日本、韓国、中国に歴訪してそれなりの露払いをしてきているのではとの憶測も高まっています。
今週6日、7日には米中首脳会談も開催されますから、北朝鮮への米国の対応が中国に正式打診される可能性は高く、もはや中国も同意せざるを得なくなる状況に陥れば本当に攻撃が開始される可能性が高まることになります。
市場がどのぐらい過剰に反応するか次第で相場状況も変わる
この米国による北朝鮮の各施設空爆・破壊という行為は、ある種の戦争状態に突入することになりますから、各施設は破壊されたとしても北がなんらかの報復行動をとることが考えられ、第二次朝鮮戦争として地上戦が展開されるようなことになれば、日本にもっとも近いところで繰り広げられる戦争という事態に陥ることになります。
これまで世界的に「地政学リスク」が高まってドル円が円高に振れるということは決して珍しくないことでしたが、果たして海を隔てた北朝鮮でこうしたことが起き、しかも韓国となんらかの戦闘状態が現実のものになった場合、日本ではまず株価が大きく売られることな間違いない状況となりそうです。
本来リスクに近い当事国であることを考えれば、円も売られることが考えられるわけですが、外国人勢が株とセットで売り浴びせをするようなことがあれば、東日本大震災のときのように災害当事国なのに日本円が買われるという、不思議な動きが示現する可能性は高く、市場の動きがどうなるのかを見極める必要がでてくることになります。
北朝鮮の体制崩壊が確定すれば一転リスクオンの買戻しも
現時点では空爆以外に米国がどのような作戦を展開するのかはまったく不明ですから、迂闊なことはいえませんが、完全に短時間で封じ込めに成功するのであれば一瞬下がった相場はすぐに買い戻しが働くことになり、むしろ絶好の買い場になることも想定されることから、一方向への動きを断定するのは難しいといえますが、まったく想定外の事態が起きた場合にどうなるかについてはかなり不安が残ることになります。
たとえば本格的な戦争から北朝鮮からの難民が日本に押し寄せてくるといった問題がいきなり顕在化した場合、市場は相当混乱することになることでしょうし、株価は想像以上に下落することになり、そもそも日本だけの問題ではなくグローバルレベルでいきなりリスクが高まります。
なによりトランプ政権がもっともリスキーであるとみなされた場合には、米国の株価も応分の下げを食らうリスクがあり、とんだ市場暴落の引き金にもなりかねない状況が考えられます。
この手の予測はもはやほとんどがたらればのモノになりますから予測することも相当むずかしくなり、本当に起きるのかどうかを正確に把握すること自体が困難なイベントとなります。
巷では新月となる「4月26日」であるとか、「5月26日」ではないかといった憶測も飛び交いはじめていますが、奇襲攻撃になる可能性はきわめて高く、ドル円を含めて相場は上昇より下落のほうのリスクに備える必要がありそうです。
正直なところこの空爆が実施される確率がどのぐらい高いのかはまったくよくわかりませんが、トランプならやりかねないと見ておく必要はありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)