新年度入りした4月3日週明けの市場はどうもぱっとせず、東京タイムに多少上昇してからは、ずるずる下げる展開が継続し、とうとうNYタイムには再度110円台に下落する動きとなってしまいました。
新年度といっても主要な機関投資家が登場するのは早くても4月の後半からですから、明らかに投機筋主体で相場が展開しているものと見られますが、状況的にはドル円が狙い打ちされているようで特に下落が激しくなってきています。
前回3月末の下げではいまひとつ下落が限定的で、消化不良を起こしているのがこのような再度下値を試す動きとなっている可能性も考えられますが、いよいよ政治的に不安定な状況が近づいていることもそれなりに影響し始めているようで、事実が飛び出す前に噂で売られる相場の動きには注意が必要になりそうです。
TRUMPEXITという言葉まで登場
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トランプの政策については当初の市場期待がかなり剥落しはじめているようで、話半分以下の実現にしかならないのではないかとの憶測も飛び出し始めているようです。
特に政権内部の超保守派とGS出身者などのグローバリストの綱の引き合いはさらに活発化しているようで、トランプ自身の発言も共和党の保守派と対決するといったものが飛び出しては保守的な内容の大統領令に署名してみたりとかなりぶれ始めているところも気になります。
仮に影で大統領を操る存在として有名な「スティーブンバノン」が政権から放逐されるようなことが起きれば、政策そのものの見直しが行われかねない状況であり、なんとなく市場がトランプの政策遂行を信じなくなってきているもかなり理解できる雰囲気となってきています。
また深刻なのは3月段階で500近くのポストが依然埋まらないとされていた政府職員のリクルーティングも依然難航中のようで、そもそも必要な役人が政権誕生から2ヶ月半近くになっても埋まらないというのはかなり異常な状況といえます。
これでは政策がスムーズに履行されないのも当たり前であり、今後米中会談を経て中国がまったく米国の言うことを聞かないことが明確になれば、大型減税の原資が見つからないまま減税も思うように実施できなくなる可能性が高まります。
インフラ投資も全米のどの週に適正配分するかはこれからの話ですから、短期間に決定できるものが見当たらなくなってきており、相場の期待はさらに剥落することが予想されます。
市場では早々とトランプのEXITを文字って「TRUMPEXIT」という言葉も飛び交い始めていますが、下手をすれば4年この政権が持たないというリスクも考えられ、穏やかではありません。
米国経済はかなり好調でトランプが何もしなくても株価は上がり続けるといった楽観論も登場していますが、さすがに事前の公約にかかげた政策のほとんどが実施不能に陥れば市場の期待は完全に消滅することになりますから、株式市場にとってはかなり危険な状況が示現しかねないともいえるのです。
北朝鮮への攻撃リスクが高まれば噂段階でドル円が大きく下落も
すでにドル円は110円台後半からさらに下値を狙いにいく動きになっていますが、米国の北朝鮮への攻撃の話もだんだんと事実に近くなりはじめており、これが実施される前に市場ではドル円が売り込まれて110円割れから108円方向を目指す可能性も高まっており、かなり注意が必要です。
日本では一旦引き上げていた韓国大使を再度韓国に戻ししており、まさかの事態が起きたときのための法人の安全確保のための動きではないかといった見方もささやかれ始めています。
ただし、今の相場を主体的に動かしているのはまたしても投機筋ですから、在庁がなんであれ売っても売っても下がらないとなればいきなり買い戻しが進むことも十分に考えられますので、無理して突っ込み売りをするのも危険そうです。
いずれにしても年度初めからドル円が大きく買い上げられそうな材料は見当たらず、仕掛け的に一旦下押しがさらに進むことが想定されます。
トランプ政権発足からたった2ヶ月ほどでこれだけセンチメントが変化してしまうのも困ったものですが、政策実行と関係なく「FRB」が利上げを継続すれば、株式市場に水を差すことになるのは明確で、4月の相場は微妙な変化に引き続き注意が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)