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ドル円の鍵を握るのは米国債金利という事実

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トランプ政権の政策実現能力について当初異常に期待を膨らませていた市場では、ここへきて逆にかなり疑問の声が上がり始めています。
選挙時の公約どおりの「大型減税」実現も相当危うくなっており、しかも1兆ドルといわれるインフラ投資さえも実現までにはかなりの時間がかかるとなれば、市場が期待していたようなインフレが短期間に示現する可能性はかなり後退することとなり、Fedが足元で考えているような利上げも、本来であればそう簡単には進まないことが予想されます。
逆にこのまま市場の状況を無視して無理やり利上げだけを進めることになれば、株式相場のクラッシュの引き金を引きかねませんから、すべての動きはここからの「イエレン議長」の判断にかかってくることが予想され始めています。

3月利上げ以降米10年債利回りは確実に低下

Data Bloomberg
今年3月に「FOMC」での利上げが実施されて以降、米国の10年債利回りは市場の期待とは裏腹に確実にその利率を下落させています。
本来Fedによる伝統的な連続利上げが実施されますと、長期の債券金利もそれに応じる形で上昇に転じることになるわけですが、なぜか足元の米国の長期利回りはそうした動きに転じておらず、多くの債券市場関係者がこれまでの利上げプロセス期と異なる動きをする債券相場に異変を感じはじめているようです。
つまり「インフレ」がすんなりと進まないことをこうした「債券」の動きがある程度示唆する相場になっているということです。

CFTCでは米債の売り玉が大幅減少

3月の「FOMC」の利上げに向けては多くの投機筋が米10年債を売りに回っており、過去最大級の売り残がつみあがっていましたが「FOMC」での利上げ以降急激に解消し、かなりの売りがなくなってしまったことが「CFTC」の推移からもわかります。
投機筋は金利上昇を見込んで売りに回っていたわけですが、これ以上の金利の上昇が見込めないことを察してか一気に買い戻しをかけており、「CFTC」ではほとんどの売り算が解消している状況で、債券市場だけは株式市場や為替市場とはかなり異なる動きを見せ始めています。
ところがなぜか株式市場と為替使用はこうした状況に敏感には反応せず、これまでどおりの状況を継続させています。

Fedだけが無理やり利上げを進めれば相場はクラッシュ必至

Data FT
いまのところ米国債の長短金利差は明確になっていますので大きな心配はありませんが、これでFedが勢い込んで今年の目標の利上げ3回を完全に履行するとなるとこの「イールドカーブ」が思い切りフラット化することになり、これが米国の株式相場を大幅下落に追い込むリスクになることは間違いなさそうです。
足元では「FRB」幹部の講演が続いていますが、継続利上げを肯定する発言やポートフォーリオの縮小しても利上げして問題ない旨を強く主張するNY連銀の「ダドリー総裁」の強気発言が目出っていますが、大枠ではインフレも進まないのにここからFedが利上げするのは非常に危険であり、ドル円はあくまでも金利の推移を見ながら売買していくことが間違いない状況になってきています。
トランプ政権発足からまだ100日も経過していないわけですが、相場の状況にはかなり変化がではじめており、当初考えられてきた日米金利差からはドル円が上昇するように考えられてきましたが、インフレが期待どおりに進行しないとなると、ここからのドル円は上方向を考えるのがかなり難しそうになってきているといえます。
さらに中国が言うことを聞かない腹いせに日本に通商関係と為替で米国が厳しくあたることになればドル円はますます円高方向に動くようになり、相当上申が難しくなってきている状況です。
一時的にはトランプの政策をめぐって相場が上下に動きそうですが、基本的にはドル円は下方向もしくは115円を上限としたレンジ相場が継続することを想定しておきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎
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