いよいよ週末は、フランスの大統領選挙の第一回目の投票ということになります。
直近の世論調査では中道派で親EUの「エマニュエル・マクロン」前経財相と極右政治家の「マリーヌ・ルペン」が上位2名となり決戦投票を行うことに行うことになるのではないかと見られていることから、一回の投票では決着がつかない見通しとなっており、英国のEU離脱をかけた投票のときのような緊張感はまだ市場には漂っていない状況です。
しかしこの選挙でも意外な動きが出始めているのが、「ジャンリュック・メランション」という人物のよる土壇場での2名の候補者に猛追する動きです。
ジャンリュック・メランションとは何者か?
この「ジャンリュック・メランション」は左翼党の党首であり、現在65才。今回の大統領選挙では与党・社会党とともに数少ない左派政党となっています。
全ての候補者が参加したテレビ討論会で、メランションがカリスマ的な演説を披露して脚光を浴び、現状に不満をかかえる労働者階級が急激に支持に回っていることから突然頭角を現す形となっています。
このメランションはEU改革が失敗した場合には離脱の是非を問う国民投票を実施するとしており、EU離脱のリスクはルペンが選ばれた場合と同様に高まることになります。
投票まであと数日という時期の集会にも4万人以上に聴取が集まっており、想像以上に人気の高い存在になりつつあることがわかります。
調査会社カンター・ソフレスが9日に公表した調査結果によりますと、メランションの支持率は18%と、最大野党・共和党など中道・右派陣営の候補であるフィヨン元首相を1ポイント上回り3位に浮上しており、決戦投票に残れる可能性もではじめています。
この調査における首位は独立系のマクロン前経済・産業・デジタル相と極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が24%で同率となっていますが、選挙は水ものですからどのような結果になるのかは蓋を開いてみないことにはわからないというのが正直なところです。
選挙結果の為替への影響は?
今回のフランス大統領選挙の為替への影響を考えて見ますと、中道のマクロンが1位になれば、これまで売り込まれてきたユーロは大きく買い戻しになることが考えられます。
今のところこの可能性が非常に高まっているといえますが、決戦投票までは結果はでないことになりますので、為替相場の動きも一時的なものにとどまりそうです。
ただ、ここのところのユーロ円とドル円はかなシンクロして動いていますので、ユーロ円の巻き戻しにあわせてドル円が上昇するリスクは考えておかなくてはなりません。
上のユーロ円とドル円の日足のチャートを見ますと、結構似通った動きをしていることがすぐにわかります。
一方、ユーロ下落のリスクとなるのはルペン、もしくはこのメランションが1位で通過したり、両者ともにが決戦投票に残るような場合で、特に両者が決戦投票に残ることが決まるとユーロは相当売られることが予想されます。
こうなるとユーロ円も同様に売られる形となりますから、今度はドル円が激しく円高方向に振れることが予想されますので、いずれにしてもこの週末はユーロ円、ドル円ともにポジションは迂闊に保有せずに結果を見てから売買することが賢明になりそうです。
昨年の「BREXIT」の投票の際もそうでしたが、あらかじめポジションを保有していなくても十分に利益機会を得るチャンスがめぐってくることになりますので、動きを確認してアクションを起こすことがお勧めとなります。
ここ2週間近くすっかり地政学リスクに振り回され、トランプ発言に右往左往する相場が続きましたが、久々にユーロ主導のイベントが到来するということですので、じっくり焦らずに利益機会を狙いたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)