5月の「FOMC」では大方の予想通り政策金利は据え置きとなりましたが、声明において12か月の「インフレ」は2%目標に近づいたという文言が盛り込まれました。
Q1における「GDP」の弱い成長は一時的である可能性があるとの見解を示しすとともに、経済は緩やかな利上げを正当化すると繰り返したことから、市場では6月利上げ必至という捉え方が強まり10年債金利は2.3%台を回復、ドル円も112.500円を超えて112.700円方向への動きとなりました。
低金利を維持したいトランプとは何の整合性もないイエレン政策
トランプ大統領はすでに低金利政策を維持したい旨を明確にしていますが、「FRB」の足元の動きはそれとまったく連動しておらず、とにかく来るべき景気減速時に金利による「金融政策」が履行できるようにできるだけ利上げをしておきたいという「イエレン議長」の意向が色濃くでているかのように見える利上げ政策が強まりつつあります。
しかし既に3回に及ぶ利上げのネガティブな影響は市場に出始めており、「FRB」メンバーが考えている以上に景気が後退する可能性もあることから、ここからの金利の動きに非常に注意すべき相場状況が訪れようとしています。
10年債金利が3%を超えると株式市場は持たなくなる
気になるのは債券金利の動向ですが、今のところ長短金利のスプレッドは明確に開いているものの、米10年債利回りが3%を超え始めますと、株式相場が高値を維持することはきわめて困難になることが予想されます。
また長短金利のスプレッドをあらわすイールドカーブがフラットになり始めるといよいよ株式相場は暴落の危険性を帯びてくることから、6月の「FRB」の利上げ以降の市場には相当な注意が必要になりそうです。ややもすれば「イエレン」が暴落の引き金を引きかねない状況がとうとうやってきているわけです。
だいたい相場の最後というものは大きく走って上昇して終わるものですが、NASDAQはそれに近い状況を示現しはじめていますし、とにかくこの夏以降にかけては下方向への大幅下落に相当な注意が必要になってきていることは間違いありません。
トランプ政権の動向にも大注目
トランプ政権は超長期債を発行することで巨額のインフラ投資を実現させようとしている状況ですが、今闇雲に金利が上昇するのをよしとはしておらず、今後「FRB」に対してなんらかの働きかけを行うのかどうかも非常に注目されるところです。
このまま米国の金利が上昇して株価も高値を維持、更新していくとは到底思えないわけですから、政権から「中央銀行」に対してなんらかの発言がでてきてもおかしくはないものと思われます。
過去3回まではとにかく相場には大きな変化は現れませんでしたが、次回の利上げ以降は想像以上に深刻な事態が到来することについても相当注意が必要になるのは間違いありません。
米国経済は既に95ヶ月の拡大を続けており、これまでの平均58ヶ月を大きく上回る状況ですから、ここからはいつ相場が暴落してもまったく不思議ではない時間帯にさしかかることになります。
「FRB」メンバーが何故ここまで強い自信をもって利上げに向かっているのかはよくわかりませんが、それほど楽観的になれる要素があるとは到底思えず、この慢心が大きな悲劇をもたらすことにならないことを祈りたい気分です。
とにかくNYダウが夏に向けて大きく走り出したが相当な注意が必要になりそうで、最後にどこまで我慢して相場の上伸についていくかが、FXにおいても大きな注目点になりそうです。
投機筋は米国債を大きく買い上げる動きになっていますが、これに投げが入ればさらに金利は上昇することになりドル円も夏までは上方向に走る可能性が極めて高くなりつつあるといえます。
果たしてどこまで戻るのかは不明ですが、とにかく相場が上昇する以上、ついて行って早めに降りることを考える必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)