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Data ブルームバーグ
フランスの大統領選挙でルペン候補の敗北が決定的になったのを受け、シカゴオプション取引所・CBOEのボラティリティ指数（VIX)は実に1993年以来の9.77と低い水準をつけることとなりました。
市場関係者の間では、米金利見通しの不透明感が払拭されつつあることや「地政学的リスク」増大に対する警戒感が低下していることが「VIX指数」の低下につながっているのではないかとのこれまた比較的楽観的な見方が広がっていますが、実はこうした参加者総楽観の市場いは大きな落とし穴が待ち構えており、逆にかなり心配しなくてはならない状況が近づいているといえます。
相場の下落でパニックになりやすい総楽観市場
総楽観市場の形成でリスクが去ったと喜んでばかりはいられません。米国では史上最高値を更新しようとしているNYダウやNASDAQで売買をしている限り、そろそろ相場が反転して下落するのではないかと心配しても決しておかしくはない状況が続いているにも係わらず、ほとんどの市場参加者が恐怖を感じていないというのはかなり問題です。
既に「リーマンショック」後から景気拡大がこの5月で95ヶ月というロングランに及んでいるわけですから、本来はリスクを気にしてしかるべきなわけですが、誰も何も心配していないという相場は、ここからさらに走ることが予想されますが、終わりがかなり近いことも予期させられるものとなります。
これまでまったく興味のない人間まで市場に参入してさらなる相場の上昇を期待しはじめたときというのは、まさに相場のおしまいに近い時期にさしかかっており、妄信して購入した参加者はひとたび相場が意に反して下落しはじめると、今度はわれ先にと売りに殺到して相場は必要以上に大きく下落を示現することになってしまいます。
数年前、こうした光景を中国・上海の株式市場でみかけた記憶が蘇りますが、「VIX指数」の安易な低下というのはこうしたリスクの前兆を逆に教えてくれているとも言え、ここからの相場はかなり慎重に売買していくことが求められそうです。
FRBの利上げもなんのそので上昇する米株式相場
「中央銀行」の利上げは株式市場には様々な形で影響がでることが知られており、実際に米国の金利が上昇すると如実に企業収益にもネガティブな影響がではじめることは広範に事実として知られています。
トランプ政権の政策で猛烈なインフレがやってくるのではないかとの憶測が一時飛び交いましたが、実際にはすべての政策の実施が遅れており、インフレは期待ほど進行しないことも見えてきています。
個人消費が実に「GDP」の7割以上といわれる米国社会は、依然として借金で消費をする形態が根強い社会ですから、金利の上昇はあらゆる局面にマイナスの影響を及ぼし始めており、実際全米ではクルマが売れなくなりだしています。
本来であれば利上げの影響を懸念して株式相場も下押しをする局面になるはずなのですが、今回も上昇した相場はほとんど「FOMC」の影響をうけないまま高値を継続しています。
このあたりも気持ちの悪いところで、結果が示現してからはじめて相場が大きく動き出す可能性を示唆しているものと思われ6月15日の「FOMC」以降の相場状況については株のみならず、その影響をもろに受ける為替についても厳重注意が必要になりそうです。
あらゆる金融市場で、参加者のほとんどが一定の方向を向いたときほど危ないものはないと言われますが、今まさにそれに近い状況が展開されているといえます。暴落の歴史は繰り返しているのが米国の相場の特徴ですから、とにかくここからは常に注意が必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
