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株式市場も為替市場も前々から指摘されていた、トランプのロシア関連のネタやコミーFBI長官の解任問題に端を発するリスクの問題が17日から急激に高まることとなり、ドル円は1日半で2.9円もの下落に直面するというなかなか厳しい事態に追い込まれました。
政治的なリスクだけに何処が底になるのか非常に不安な気分にさせられましたが、結局一週間の取引を終えてみますと、18日の夕刻ロンドンタイムのはじまりに押し込んだ110.240円が一旦の底値となったようで、18日のNYタイムで大きな「ショートカバー」がでたドル円は結局相場の下落を追撃するような情報は飛び出さなかったことから、111円台を割ることなく週の取引を終了することとなりました。
ただ、依然としてニュースのヘッドライン次第では下落の可能性は残されることになり、ドル円はロングポジションを保有しているとなんとも落ち着きのない気分にさせられるとことが気になります。
ただ、トランプの動向がどうなるのかはいくら推測してみても全く意味はありませんので、まずはテクニカル的な部分から短期的な先行きを考えてみたいと思います。
当面の上限と下限
今回17日の朝からの相場の下落を基点として考えた場合、110.24円が一旦底値になっていることから、すでにフィボナッチでは38.2％戻しは実現している状況で、さらに戻ったとしても半値戻しが112.043円、61.8％戻しが112.469円ですのでこのあたりが当面のターゲットになりそうです。
また、本邦個人投資家の大好きな一目均衡表でみますと、ドル円は日足で雲の中に入りこんでおり、ここからはこの雲がさらに厚くなる方向に向かっていますから、まずこれを抜け出せるかどうかが大きなポイントになりそうで、この雲の中にいるかぎり112円には届かない状況になりそうです。
むしろ下値が広がりかねないところですから5月中はまだまだ戻り売りを意識しておかなくてはならなさそうです。また4月の第一回目のフランス大統領選挙直後のオセアニアタイムに空いた窓がまだ埋まっていませんので、109.460円レベルまで押してこれを埋めにいく可能性も残っていそうです。
今回下落の要因はすべてトランプなのか？
とにかくトランプネタがでたきてから急激に相場が下がってしまいましたから、大きな原因がトランプであることはまったく否定しがたい状況ではありますが、米国の株式市場や日本の株式市場はかなりいいところまで上昇してきております。
特に米国の株式市場の場合、長短の金利差が縮小する中にあっては本来自立的に相場を調整すべき時期にさしかかってきていたことも事実で、そのタイミングにトランプの問題ある言動報道がでたことが相場の下落にうまく使われてしまった感も否めません。
同じことは短期間に上昇しすぎたドル円にも言え、本来は5月末ぐらいまでは上昇を維持してそのご調整下落に入ったり、6月「FOMC」の利上げで材料出尽くしから大きく下げるという動きになればかなりわかりやすかったのですが、先にトランプネタでむやみに下落してしまったことから、ここからの動きがかなり判りにくくなってしまったことだけは確かな状況です。
ただ、今回の下落ですべての調整が終わったとも言い難く、大きく下げたところは買い向かうことで「ショートカバー」の発生による利益の獲得は見込めそうですが、上値もそれほど高いところまで戻ることは想定しにくく、売りも買いも慎重に行うことが必要になりそうです。
すべてをトランプリスクとして受け取ってしまうと、かなり間違った投資行動になることにも気を使うべき状況です。
当面は24日に議会証言が予定されている「コミー前FBI長官」の発言でトランプの違法性が明確になるかどうかで、ここでメディアが期待しているような犯罪性が明確になればさらに相場は下落するものの、決定打がでないと一旦この話は終息することも考えられます。
したがって週明けの1週間は上下どちらにでも相場についていける臨機応変さを考えておくべきでしょう。
（この記事を書いた人：今市太郎）
