25日に発表された米国「FOMC議事録」を受けて、NYダウは続伸し、2万1000ドル台でじり高を続けています。
一般的に株式相場はじり高が続くと大きく下げないもので、ここからさらに上方向に6月「FOMC」に向けて一気に相場が走り出すことも十分に考えられる状況です。しかし相場の最期は必ず大きく走っておしまいになるだけにその先に起きることが非常に気になるところです。
依然としてリスクに対する意識が低い米国相場
チャート Kabutan
トランプリスクを大きく嫌気した株と為替ではありましたが、足元では株を中心にほとんどリスクを意識せずに上昇を続けています。
「FOMC議事録」では多少様子見のような文言も入りましたが、市場はほとんど6月利上げを織り込んでいますし、「FRB」バランスシートの縮小の話が明確になっても株式相場はお構いなしの状態で上昇を継続中です。
本来4回目の利上げともなれば実際の景気にもかなり影響がではじめますし、なにより「バランスシート」の減少はこれまでテーパリングをしても市中に出回った資金を回収しなかった「FRB」の明確な方針転換で、金融市場から資金が逃げていくきっかけになることはほぼ間違いない状況です。
先行き不安があっても意に介さず継続上昇する相場の状況ほど怖いものはないのが過去の動きからも考えられるところで6月相場はかなり注意が必要になってきていることがわかります。
利上げ総計4回目以降はこれまでと違う相場の動きに
過去の米国の利上げでは総計3回目程度まではほとんど景気にも影響が出ないままに相場も進行することが多いのですが、4回目以降は確実に変化が現れるといわれています。
利上げに対する影響については殆ど市場も意識していないようですが、クルマや住宅の販売には確実に影響が出始めていますし、金利上昇は企業業績にも悪影響を及ぼすことは過去のデータからも明らかです。
日経平均だけはNYダウについて行かずに足踏み状態なのが気になるところですが、6月利上げ以降相場の変化には十分に気をつけなくてはならない時期にさしかかっているようです。
米国のイールドカーブはフラット化が進む状況
Data FT
米国の金利状況は利上げが明確になってきてもなかなか上昇する気配がなく、短期金利と長期金利の差を示す長短スプレッドのイールドカーブは徐々に平坦になりつつあります。
こちらも過去のデータからしますとフラットになると必ず米株の大幅下落が起きているだけに暴落指標としては見逃すことができないものになりつつあります。
ドル円はこうした中でかなり方向感がなく狭いレンジを形勢して上下に動く展開が続いていますが、この先6月「FOMC」にむけて相場が走り出すことになればトランプのロシアゲートリスクさえ炸裂しない限りもう少し上値を試す可能性が考えられます。
ただ、大幅上昇はかなり想定しにくく、むしろユーロドルとクロス円の動きに大きく影響を受けそうで、ドル円単体としては方向感がでにくい時間帯にさしかかってきているともいえそうです。
市場にはトランプリスク以外は大きなテーマが見当たらない状況で、ほかに大きなリスクを感じるものも存在しないだけに、かえって危なさを感じる次第です。ドル円は闇雲にロングで相場に入るのを心配する必要はありませんが、どこかで急激な変化が起きるリスクをこの夏の相場では常に意識しておきたいところです。
それだけ相場状況はかなり似詰まってきつつあるといえるのです。大暴落のタイミングというのは上昇にくらべて非常に当てにくいといわれますが、かならず兆候は見つけることができるものです。それを常に意識して相場に向きあうことが必要です。
6月は米国も景気拡大から既に96ヶ月という異例のロングラン状態に突入することになります。なにかをきっかけにして相場が崩れれば半年分ぐらいの利益は簡単に吹っ飛ぶことになりますので用心だけは欠かさぬようにしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)