日経平均が6月に入っていよいよ走り始めています。この動きがどこまで続くのかはまったく不明ですが、株式相場が走り始めているのは米国と日本とインドぐらいのもので、世界同時株高といった楽観状態にまでは至っていません。
株の話は株専用サイトでしていただくとして、為替を中心にディールしているものにとっては、なぜ為替相場、とりわけドル円がその動きについていかないのか?が不思議などころです。
これには市場を買い上げているプレーヤーがこれまでの「アベノミクス」スタート時とかなり違ってきていることが大きな理由としてあげられそうです。
機関投資家の横並び買いが今回の上昇のきっかけ
今回6月に入って唐突に日経平均が上昇したのは、やはり機関投資家がどっと市場に買いを入れてきたからだといわれています。
この機関投資家、とりわけ生保などは横並び感が強く、他社がやり始めるとサラリーマンであるファンドマネージャーがとにかく会社で怒られないように時を同じくして買いに入るというきわめて日本的な事情から一気に上昇を始めるのが特徴で、本邦勢が買いに入っているわけですから、外国人のようにヘッジでドル円も買っておくとおいう動きが示現しないのは当たり前ともいえる状況なのです。
ただ、ドル円自体はやはり米国の10年債利回りの推移に非常に密接に動いており、株価との連動感はほとんど感じられません。
したがってこの先日経平均が2万1000円を超えるほどの上昇を示現したとしてもドル円がその動きにすんなりついていくとは到底思えない状況で、米国株に比べてお買い得といわれながらも上昇しているのがこの程度ですからすばらしく期待できる相場ともいえない印象があります。
2015年末の日経平均2万円台乗せのときのドル円レートは?
前回日経平均が2万円を超えたのは2015年末でしたが、このときのドル円は同年12月1日の終値で122.87円、31日の終値でも120.320円となんとか120円台と維持していますから、111円レベルの円高状態で2万円が回復できたのは過去の例から見ればある意味、画期的な状況であるともいえます。
しかし見方を変えれば外人投資家がこの動きについてきていないからであるとも言えるわけで、果たして機関投資家や年金などの動きで上伸した相場がいつまで維持できるのかも非常に興味深い状況といえます。
またドル円については株の上昇にはついていかなくても、大幅下落の影響だけはしっかり受けてしまうという悲しい運命にある通貨ペアですから、上げは意識しなくても下げのほうは相当しっかりチェックして巻き込まれないようにしなくてはなりません。
走りはじめた相場は上昇終了の前兆か
気をつけなくてはならないのは、株式市場の場合大きく下げる前に必ず走り始めてインデックスだけが闇雲に上昇してしまうことです。
債券や為替との相関性も失われてひとり上昇をはじめる日経平均というのは相当気をつけたほうがいいことだけは間違いなく、機関投資家の買いが一巡すると相場が上がらなくなるリスクを常に意識しておかなくてはなりません。
とくに14日(日本時間15日午前3時)の「FOMC」の結果を受けて相場の流れが変わりはじめるかどうかは大注目で、潮目が大きく変化するのがこの時期になるリスクも意識しておく必要がありそうです。
とくに楽観相場の場合ほとんどの市場参加者が下落を意識してオプションを購入したりしていないことから、ひとたび下落が始まると必要以上に恐れおののいて売りを加速する可能性があり、市場参加者の狼狽だけでひどい相場になることが往々にしてあることだけは相当事前に考えておく必要がありそうです。
そうでなくても今週はリスク要因満載で相場が動きますので、ひとつだけの要因からあまり上昇を期待しないほうが安全といえるのではないでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)