事前に混乱が予想されていたリスクイベント満載の6月8日も結局のところ為替相場には大きな変動は見られず、比較的静かに終わりを告げようとしています。
ECB理事会は引き続き緩和継続でユーロは小動き
まず昨日トップバッターで登場した「ECBドラギ総裁」でしたが、インフレ率に対する見込みが下がったこともあり、緩和措置は継続ということでほとんど大きな動きにならずに終了することとなりました。
ユーロドルは1.12台初頭を動く状態で上げは幾分縮小しましたが、下落も軽微で事実上凪の状態となってしまったようです。
ユーロは11日のフランスの議会選挙が次なるテーマということになりそうですが、とりあえず大幅下落というリスクからは一旦解消された状況です。
コミー前FBI長官の議会証言は疑惑を残す結果に
その後立て続けに開催されることになった「コミー前FBI長官」の議会証言も前日に開示された発言内容がそのままトレースされた形となり、驚くほどの新事実は登場しませんでした。
ただ、コミーがトランプのことをうそつきであると再三口にしたことや自分のメモが流出すればいいなどと発言したことを受けて、犯罪性があるかどうかは別としてもそれなりにコミーがトランプから忖度を求められたことはどうやら間違いないようです。
今回の証言では決定打は登場しなかったものの、今後「マイケルフリン」が強制的に召喚されて議会で発言することなるとまた様子が変わる可能性は残されています。
しかしそれにもまして強く印象づけられたのは株式市場がまったくこの件を気にしていないことで、米国の外から見ているのと米株式市場の市場参加者のセンチメントは結構異なるものなのかもしれないことを改めて痛感させられました。
英国議会選挙は前倒し大失敗
英国の議会選挙は結局マジョリティを誰も確保できないハングパーラメント状態であり、この原稿を書いている段階ではまだ発表になっていませんが、メイ首相が責任をとって辞任をすることなるのかどうかに注目が集まります。
いずれにしても英国の議会選挙は「
BREXIT」が決まった中での英国の国内問題という意識が市場には強く、ポンドは乱高下すらしたものの、昨年の「
BREXIT」のときのような大混乱には至らなかった状態です。
いよいよ市場の焦点は週明けの米国FRBの利上げに
大きなリスクイベントを消化していよいよ週明け15日の日本時間朝3時に発表となる「FOMC」の利上げに注目が集まります。もはや利上げ自体は折込済みですから、利上げ後に相場が果たしてどうなるのかが目下市場関係者の最大の注目点であることは間違いありません。
とくにこれまでの「
イエレン」「
FRB」の利上げでは毎回その直後からドル円が下落し、日経平均も大きく下げるという状況を示現させていますから、同じことがどこまで起きるのかにも関心が高まることは間違いありません。
金利の上げによる市場へのインパクトは軽微という見方が根強いなかにあって、クルマも不動産も米国では売れなくなってきていますし、クルマの「サブプライムローン」の問題も顕在化してきつつありますから、今回の利上げで経済状況に何も影響がないと考えるのはかなり危険な状況です。
利上げ直後に暴落が始まるとは思えませんが、なんらかの下押しが始まり、夏に向けてさらなる調整、大幅下落につながるリスクにどう対応するかがここからの個人投資家の大きな問題になってきそうです。
まあ常にドル円ならショートだけ持っているわけにもいかないわけですが、ロングの保有時間を考えるとか、タイトなストップロスをおく、トレーリングストップで対応するといった自衛手段を真剣に考える時期がやってきているように思われます。
足元の相場は想像以上に薄商いで、とくに投機筋が「
FOMC」以降の相場を固唾を呑んで見守っているとい言われているのが現状です。来週後半まで様子を見るというのもここからの相場へのベストなかかわり方になるのかも知れません。