9日のNY市場はすでに主たる戦いが終わってかなり閑散とした相場状況に見えましたが、その中でドル円はショートのあぶり出しとユーロドルは買い下がりのロングの投げが繰り返されることになりました。
相場をごらんになっていた方はドル円が非常に強く、ユーロドルがどんどん下落する印象をお持ちになった方も多いと思いますが、実際ドル円は猛烈な「ショートカバー」、そしてユーロドルは逆に買い下がりが徹底的に投げさせられるという状況が「London Fix」あたりまで続くことになりました。
ショートカバーや投げには2つの形が存在
ごらんいただいているのは、ドル円の9日の5分足のチャートですが、NYタイムが始まる午後9時あたりから徐々に上昇しはじめたドル円は、それまでたまりにたまったショートのあぶり出しを短期投機筋が主体で行ったものと見られ、その後午後10時20分んは110.805円まで急激に上昇することとなりました。
この間一切緩みはありませんでしたから、粛々とストップロスをつける作業が行われることとなってしまったわけです。しかし本質的な買いが強かったわけではありませんから、その後「London Fix」を経て相場は利益確定売りがでるたびに下落をはじめ午前1時前から早朝4時すぎまで延々とずるする下がる相場を継続させることになりました。
そしてNASDAQの崩れでNYダウがマイナスに転落した段階で、一気に売られて一瞬110円台初頭まで売り込まれるという展開になってしまったわけです。
本来じり高で上昇した場合、ドル円は高値でスタックしてしまうケースが多いのですが、今回は個人投資家もほとんど積極的に売買をしない週末の取引だったこともあって場の薄いなかで、一定のショートの損切りがなくなってみたら、その先が続かずに完全にもとのレベルまで下落してしまうという動きになってしまったのです。
一方これとまったく反対の動きをすることになったのが「ユーロドル」で、英国の議会選挙がほぼ判明した段階あたりから買いあがっていったユーロドルは、ロンドン勢の参入とともに延々と売り込まれることになりますが、ちょうどドル円がピークをつける時間帯に底値のピークをつけてからは今度は買い戻しとなって結局午前2時過ぎには1.12を回復するところまで値を戻す展開となりました。
「ショートカバー」や投げはその動きについていくのがもっとも簡単な売買エントリー法となりますが、高値や底値になったときに折り返してまた元の値段のレベルまで戻すかどうかは、ショートやロングが完全に切れているかどうか、また場が薄く市場参加者が少ないか多いか次第で決まることになりますので、すべてのこうした動きが行って来いを演じることなるかどうかはあくまで相場次第ということになります。
NYタイム「London Fix」後のドル円を結構頻繁に見ていましたが、すでに相場は市場参加者もまばらな状態で坂道をゆっくり転げ落ちるかのように、3時間近く下落した相場にはまったくやる気が感じられませんでした。
投機筋だけが主体となる相場展開ですと、ポジションの投げが明確に出ることからこうした往復の動きが出やすくなります。
厄介なのは本邦勢の個人投資家が急騰や急落の動きにまったくポジションの損切りをせずに保有し続けることから一旦上昇してしまうと、今度は下がってこないという不思議な相場状況を示現してしまうこともあるため、一概にその動きを断定はできません。
いずれにしてもドル円は下方向もたまったショートが切れ、上値も111円までは簡単に上がらないことがよくわかりましたので、週明けからは比較的しがらみの少ない自由な動きになることが想定されます。
とにかく14日(厳密には15日午前3時)までにどこまでドル円が利上げを意識して上申するかがポイントになりそうで、「イエレン」発言で年内利上げ見込みがさらに強まるようなことがあり上昇することになっても意外にそれが絶好の売り場になることも意識して売買に望みたい状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)