「FOMC」を前にしてドル円の上値が猛烈に重たくなりはじめています。12日オセアニアタイムでは110円円台中盤から始まったドル円でしたがその後110.300円レベルにすらとどまることができずに早々と東京タイム終了後には110円割れとなりました。
NYタイムでNASDAQが金曜に引き続いて大きく値を下げるとつられるように値を下げ、一瞬110円台をつけた以外は一貫して109円台で推移するというかなり厳しい動きを示現することになりました。
FOMCまで上昇という甘い期待すらなくなる可能性
相場は様子がおかしいと思い始めるとすべておかしく見えてくるものですが、米国の都合4回目の利上げを前に相場が自律的に調整を始めている可能性が高く、しかもその内容は結構厳しいものになりつつあるようです。
5分足でその動きを見ても終日下げ基調で、すでに利上げは織込み済と思われましたが、まだ調整が進んでいることがわかります。
「FOMC」の発表まではまだ丸2日残されていることになりますが、ここからの動きにもかなり注意が必要になってきそうです。
NASDAQにおけるFANG横並びの下落は株価上昇の終焉を示唆か
Data ADVFNFANG
気になるのはNASDAQの中でもFANG銘柄の動きが、横並びで大きく下げているのがなんとも気になるところです。
銘柄を中心に見事にそろいもそろって下げているのは作為的な印象すらありますが、ゴールドマンサックスがこうした特定銘柄だけに買いが集まっているのは割り高であることを指摘したこともあって、とうとう米国の株式市場を牽引してきたIT値嵩株が下落を始めたことは非常に気になります。
FOMCを前に続落するようであれば、為替も様子をみるべき
個人的な期待で言えば「FOMC」直前までドル円は一定の戻りを実現し、利上げ発表と「イエレン議長」会見でさらに瞬間上昇を果たしてもそこから下落の一途となるのではと思っていましたが、どうもこのままで行きますと「FOMC」の前に株も含めて相場が崩れかねない雰囲気になってきており、勝手な期待からドル円を買いもちにしておくのはかなり危なそうです。
NYタイムでも109.629円が下値でそれ以上走ることはありませんでしたが、金曜日の安値をあっさり下抜けており、本日も大きな戻りを期待することはできなさそうな状況です。
プライスアクションからの印象はかなり正確
月曜日ドル円は当初押し目買いから考えましたが東京タイムで上値がどんどん重くなったことから、戻り売りに変更してロンドンタイムに参入したところ見事にNYタイムで大きく下落による利益を確定させることができました。
もちろん経済指標や要人発言などで上昇に転じることは十分にありますが、基調の強さ弱さをプライスアクションから感じることはある意味でかなり確実であり、売買するかどうかは別にしてもチャートの動きに集中してみると相場の先行きがある程度見えてくることになります。
今回も110円割にはそれなりに年金や本邦機関投資家の買いが集まっているとうわさされていましたが、簡単に下抜けており買いの情報もまったくあてにはならない状況です。
とくに本邦勢は東京タイムの終了とともに一旦オーダーを引っ込めることが結構頻繁に起きているようで、岩盤かと思っていたら何もなかったという笑うに笑えない状況には巻き込まれないよう西なくてはなりません。
オプションは引っ込めるわけには行きませんが、特定投資家の買い情報は怪情報になりがちですから鵜呑みにするのは危険です。
市場ではすでに利上げを100パーセント近く織り込んでいるので、利上げの発表と今後の追加利上げ・バランスシートの縮小の話でさらにドル円が買われるといった期待もあるようですが、その前に米国の株式相場が利上げに癇癪を起こすようであれば、やはり上昇よりも下落の心配をするほうが間違いないものと思われます。
あくまで足元の景気は中央銀行が人工的に作り出したものですから、金利が上昇し、資金が市場から引き抜かれる側面で相場がこれまでどおりの動きになるはずはないことだけは肝に銘じておく必要があります。
(この記事を書いた人:今市太郎)