「FOMC」から1日過ぎた米国の株式、債券市場は微妙な動きを見せる結果となりました。「NASDAQ」はまたしても大きく売られるところからスタートし、NYダウも同様に下落から始まりましたが終盤には値を戻す展開となっています。
やはり金利の上昇はボディーブローのように株式相場に効き始めているようで、本格的な動きがでるのはまだこれからと思われますが、予断を許さない状況が続きそうです。
為替相場のほうは債券市場の動きに完全にリンクするような動きを見せ、前日「FOMC」の発表で値を下げてからは「バランスシート」の縮小の影響を受けて小幅に10年債金利が上昇したのに反応してドル円は111円手前まで上昇する動きとなりました。
Data Investing.com
投機筋はかなり10年債を買いもちしている状況ですから、金利が上昇して債券が大きく売られるような展開となれば、投げが入ってさらに売り込まれる展開から金利が上昇するリスクも残っているようです。
ただし、債券に投げがでた場合には、ファンド勢が損失補填のために株式を売却するケースもあり、そもそも金利上昇局面は株価にとっては逆風となりますので、株式市場の動きに波及することも考えなくてはならない状況です。
NASDAQは安値を試す展開に
「NASDAQ」はどうやら安値を試すモードに完全にシフトしたようで、さらに大きな調整に向かう可能性が高まりつつあります。IT値嵩株のFANGはまたしても下落に陥っていますし、決して循環物色でもとに戻ろうとする流れにはなっていないように見受けられます。
長く市場に関わっている関係者の目ら見ますとITバブルの崩壊前の動きによく似ているといった声も聞かれており、なんとなく嫌なムードが漂いはじめている感じです。
米国の株価の大幅調整が出始めてくれば、容赦なく為替にも影響がでることになりますので、足元で上昇したかのように見えるドル円もここからの動きにはかなり注意が必要になりそうです。
当面債券市場の動きを十分にチェック
為替には様々な材料が影響することになりますが、当面はやはり債券市場の動きに注目しながら売買を進めていくことが間違いなさそうな状況です。
昨日のアジアタイムではさすがにショートがたまりすぎたことで相場は上に持ち上げられてしまいましたが、やはり多くの市場参加者が下方向に動くことをかなり意識していることだけははっきりしており、ここからはそう簡単に上値追いの相場にはならなさそうな状況です。
「FRB」の「バランスシート」縮小による金融引き締め相場がいよいよ現実のものになりますと、これまで金余りから米国の株式市場に集まった資金が逃避していく可能性もあり、ここまでの過剰流動性相場が大きく変化することも考えておかなくてはなりません。
実際に「FRB」が本当に市中から資金を引き上げられるのかどうかは今後の相場状況次第にも思われますが、ここで夏に向けて相場が大きく下落するような局面になれば、「バランスシート」の縮小などということも言っていられなくなるだけに、あくまでの相場の状況が気になります。
足元の相場状況は一旦収まったかのように見えますが、動きが顕在化するのはまだこれからで予断を許さないことになりそうです。特にここからは下方向への急激なシフトに対応できるように常に準備しておく必要がありそうです。
「NASDAQ」の動きがこの先の相場の前兆なのかどうかはまったくわかりませんが、何か市場に変化がおきつつあることだけは間違いないようで、より大きな変化がでるようであれば一旦取引を見合わせて動きを確認してから再度エントリーするといった慎重な姿勢が求められます。
相場の変化は早ければこの6月中にも見られるようになると思われますので、ここからの取引はいつも以上に用心しながら行うことにこしたことはありません。
(この記事を書いた人:今市太郎)