相変わらず市場は材料を失って方向感の乏しい相場を継続中ですが、全体としてドル高でもドル円はクロス円の影響で下落の傾向が強く、足元では連日ポンドの影響をもろに受ける相場展開をなっています。
連日BOEメンバーの発言に一喜一憂のポンド
20日のロンドンタイムは「カーニーBOE総裁」が早期利上げを強く否定したことから驚くほどポンドが下落することになり、市場にほかの材料が見当たらないドル円は完全にポンド円の下落に巻き込まれる形で大きく下押しをすることとなりました。
しかし21日には一転、ホールデン英金融政策委員の『年後半には緩和策の一部解除が望ましい』との発言を受けポンド買いが進展。
対円で141円47銭付近まで、対ドルでも1.2708付近まで急伸するなどポンド全面高の様相となり、ドル円も111円を割れるのではないかと思うほどの下押しから111.350円近くにまで値を戻すという非常にわかりにくい展開となりました。
20日の夕方に142.527円までつけていたポンド円が「カーニーBOE総裁」発言であっという間に2円近く下げ、その後も売り込まれて21日のロンドンタイムのスタート時には129.835円まで売り込まれてしまうというのもかなり過激ですが、ホールデン発言でいとも簡単に2円近く戻してしまうのもすさまじいものがあり、これを往復でうまく利益にかえられた人はどのぐらいいたのかと詮索したくなる状況です。
このほかにも豪ドルの上下にもドル円は影響を受けており、ほとんどクロス円の動きでドル円も上下に振れている印象があります。
引き続きドル円は111円~112円のレンジか
米国の株式相場は連日市場ごとにランダムな展開となっており、NYダウと「NASDAQ」が一緒に上げたかと思えばNYダウだけ下げたりといった不規則性の強い動きを継続中で、債券金利はそれと関係なく低い利回りで推移しており、上昇の兆しはいまのところ見当たらない状況です。
111円割れが近くなるとさすがに逆張りで買いから入るのが躊躇されまますし、全体としてショートが多くなる傾向が見られることからいきなりの「ショートカバー」を気にすると上値での戻り売りも相当注意が必要になっていますが、結果論からいえば単なるレンジの連続にすぎず、今週いっぱいはこの調子についていけば売りでも買いでも多少の利益にはありつけそうな感じになってきています。
市場には米国の利上げ後の本来のロジックどおりの展開を期待する向きも多く相場の見方はかなり分かれているようで、こうしたことも上げるのか下げるのかの判断がはっきりつかない相場の動きが示現する大きな原因にもなっているようにみえます。
原油価格もここへきて勝手な動きに
「OPEC」で現在継続が決定したはずの原油もリビアが増産していたり、カタールとサウジおよび周辺国の国交断絶など、こちらも米国の「金融政策」とはまったく関係ない動きを見せるようになっている点が気になります。
とくに石油価格の下落はまったく「インフレ」を進行させない大きな原因となりますから、本来米国がサクサク利上げをするような状況にはないはずで、これもまた為替に影響を与える新たな要因になりつつあります。
資源国通貨はあからさまに原油価格の下落の影響をうける形となっており、結局それが回りまわってドル円にも影響を与えていることは間違いありません。クロス円の状況を逐一見ながら売買すると言うのも実にストレスのたまるものがありますが、今のところは仕方ないのが実情です。
散々いろいろなファクターを考え合わせた結果が足元の為替相場の動きとなるとかなり気分も萎えますが、とにかく足元の相場では一喜一憂してみてもあまり意味がなさそうなので、金利の動きを見計らいながらレンジ相場で限定的でもしっかり利益を積み上げて、次の動きに備えるべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)