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いよいよ名実ともに7月相場到来となりますが、為替相場の方向感は思いのほかはっきりしなくなっています。足元ではもっともドル円に影響を及ぼしているのは債券金利の動向となりますが、7月相場ではそれにも増して気になるのが「米国の株式相場動向」です。
すでに7月で景気拡大から97ヶ月というロングランになる米国ですが、10年に一度は必ず大幅調製の起こる米国株式相場にいつ大きな下落が起きてもまったくおかしくないだけに、この夏にそれが起きるかどうかが非常に注目されます。
まず新大統領が誕生した年は毎回6月までは株式相場も堅調ですが、その後７月から大きく調整することになり、特にそれば民主党から共和党の大統領になったときに激しく示現する「アノマリー」があります。
これはもはや「アノマリー」というよりは毎回厳然たる事実として起こることになるようなので、今年だけ回避できるのかは非常に不明感が強くなります。
また、10年に一回暴落が起きるという７のつく年の「アノマリー」も暗い影を落としています。この場合7月まではなんとか持つ相場がその後いきなり崩れ始めるというもので早ければ7月中にも起きそうなところがなんとも気になります。
そうでなくても8月は毎年夏枯れで米国の株式相場は大きく調製することがほぼ決まっていますから、こうした「アノマリー」のどれが真実なのかはよくわかりませんが、大きく下落がはじまった場合には、債券金利とは別にドル円は下落に連動して下げることが容易に予想され、かなり注意が必要になります。
市場には依然として相場の強気派と弱気派が混在していますが、悪材料がどれだけ飛び出してもほとんど株価に反映しないという動きはバブルの末期によく見られるものですから、米国の株式状況がそれにかなり近い状況になってきていることだけは間違いなさそうです。
BIG5株は既に走った後か？
だいたい株式と商品相場は大暴落の前に驚くほど走って値を上げることがほとんどですが、米国の株式市場はじり高傾向が続いており、大きく走り始めているといった印象はまだ乏しいのが実情です。
しかし最近ではアマゾン（AMZN）、アップル（AAPL）、アルファベット（GOOGL）、マイクロソフト（MSFT）、フェイスブック（FB）の「ビッグ5」株に資金が集中しているのが現状で、NYダウもNASDAQも指数的には走っていないものの、特定株はもはや十分に走ってしまっているという味方も根強くなってきているのです。
これが事実だとすればここからはいつ大きく調製しても不思議ではないことになってしまうわけです。また、下落といっても現状では下値を拾う投資家が結構存在することから、このタイミングでは大きくは下落せず、あくまで調整ではないかという味方もでています。
こればかりはそうなってみないとどちらが本当なのかはわかりませんが、市場は依然として楽観的な相場が継続しているだけにひとたび下落がはじまると一定のコストを割ったとたんにいきなり下落が加速する可能性も高い点には相当な注意が必要になります。
為替の取引なのに株価の動向が支えというのもなんとも元気の出ない材料ですが、とにかくこの夏は相当用心することが必要になりそうです。
とくに株価の大幅下落は債券市場に資金が逃避的に流れ込むきっかけにもなりかねないだけに金利の下落に拍車をかける可能性もあり、回りまわってドル円の下落が明確になることが予想されます。下落相場に参加しないとしてもなんとか巻き込まれて証拠金を減らすことだけはまぬかれたいところです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
