先週にドイツで行われた、「G20」は何も決まらなかったというのは正直な感想です。その内容を検証してまいりましょう。
先ず、その設立の背景というのは、「G7」というのは東西冷戦中に発足したものですから、東側、つまり、共産圏の国は、事実上、参加することができません。
世界第二位の中国が「G7」に参加をしていないのは、共産圏だからです。ロシアが参加していないのもそのためになります。逆にイタリーなどは、世界の上位七カ国にはとても言えないような国なのに「G7」メンバーというのはかなり異論が上っているのも事実です。
一方で、「G20」というのはもともと、ブリックス会議といわれ、その前身はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどの新興国を中心に発足した会議で、そのほかに最近、流行のミントなども含まれた会議になります。
この序列関係が大事
つまり世界の経済会議の中でトップは「G7」であり、20はその序列にすぎない、という基本知識を知らなければ、意味がないと思います。
つまり今回の「G20」の決定合意というのは、先のサミットで決定したことの追従決定になるのが、当然の話になりますので「G7」ほど重要ではない、ということになるのです。20ではもちろん、新興国の意見も聞くという要素もあるということになります。
何も決まらない世界合意
今回の、合意内容には保護貿易と戦うという一文が加えられましたが、結局、自由貿易に対するアメリカの決別姿勢というのは、多くは触れられなかったということです。
太古の昔から自由貿易というのは、経済に劇的な発展をもたらすことは自明の理です。その阻害を一部、認めてしまったということは暗澹たる気持ちになり、この国際的合意によって秋以降の議会で予算的、補助金的なものが組まれないということが確定的になったと言っても過言ではないと思います。
日本がヨーロッパとのEPA合意を急ぐのはこの秋に毎年、政策的な補助があってマーケットが上伸するのですが、今年は、何もできないので、ヨーロッパとのEPAを急ぐだけの話です。
つまり、日本政府としては秋以降にマーケットがかなり混乱をするのを予想しているのに、なんだろう、この過度の楽観とは思います。
マーケットについて
「雇用統計」後にアメリカの経済規模の拡大が鮮明となりましたが、その結果、円高に行くという、いつもの円高にはなりませんでした。この結果の敗因は、日本銀行の買いオペがあると思います。
通貨マーケットはドルの強弱で決定することがほとんどですが、たまに原油相場のように需給で決定する場合もあります。緩和量は今後も日本は増える見込みで、欧米は減らすことが確実になっています。
つまり通貨供給量が増えるのは日本だけで、その量で今、価格メカニズムが働いているとすれば、円安なのかな、とは思いますが、長続きはしないだろうと思います。原油相場と一緒のことです。「アベノミクス」発足当時とインパクトが違います。
(この記事を書いた人:角野 實)