114円台に乗せたドル円はほとんど下がることもなく、とにかく上値を試さないことには気がすまなさそうな気配濃厚になってきているようです。
投機筋もユーロ円はターゲットにしているように見えますが、なにぶん架空のクロス円通貨ですからダイレクトにユーロ円を買うというよりはユーロドルとドル円にばらして買っているのは明白で、こうした動きもドル円をかなり堅調にしているのだろうと思います。
金利が上がっているのが上昇の背景にあることや、日米欧の金融政策当局の政策の打ち出し方に明確なコントラストが発生しているから円が売られるという動きになっていることも理解はできます。
しかし、実際に利上げにもなっていないユーロに対する思惑買いは、やはり投機筋主体の仕掛けがでているからこその動きで、この流れが強い限り逆らって売りから入るわけにもいかない状況が続いています。
一体投機筋の夏休みはいつからなのか?
例年この時期になりますと市場参加者がかなり減ることから、そもそもの取引ボリュームもかなり減少することになるわけです。
儲かっているファンド勢はファーストアウトとばかりにすでに相場から資金を引き上げて夏休みに入り始めており、この時期に貧乏暇なしとばかりに相場で仕掛け売買をしているのはもっぱら利益にありつけていない投機筋主体ということになります。
それでも夏は、それなりの休みを取るのが慣例になっていますので、早ければ17日の週から利益が出たものには反対売買がではじめるリスクを考えておかなくてはなりません。
ユーロ円はここのところかなり上げていますから、これでリカクとなるとドル円、ユーロドルともに反対売買が出ることは容易に予想され、債券金利に特別な吹き上がりがなければここ2週間の中で逆方向の動きが明確になることも考える必要になりそうです。
果たしてこうした投機筋がどのぐらいの価格レベルを各通貨に見込んでいるかが問題になりそうですが、ユーロ円が140円などというレベルに到達してしまうと、ユーロドルも1.16を超えるレベルに上伸することになるでしょうし、ドル円もまさかの115円超といった世界を見る可能性はありそうです。
ただ、今の材料でそこまで本当に行くのかは今ひとつ信憑性がある話にはなっていませんので、意外なところで打ち止めという可能性も考えておく必要がありそうです。すべては日柄との関係もみておくことが大事になりそうです。
円キャリートレードはそんなに出ているのか?
巷で話題になっている円「キャリートレード」ですが、確かに金利のことを考えれば増えるという話は実にまことしやかですが、足もとではまだユーロも利上げが始まっているわけではないですし、実際にどのぐらい需要が増えているのかはよくわからない状況といえます。
まあ嘘ではないものの本当に円キャリーが増えているのかというのはにわかには信じられないものがあります。
また円キャリーでドル転などが増えますと、逆にドルロングが増えすぎて今度はドル円が上昇しないという別の動きも示現することがありますので、円キャリーイコールドル高にはならない可能性にも注意が必要になります。
いずれにしても足もとの相場はすっかり投機筋主体でいじくり回されている感がかなり強くなっていますので、彼らが休みで撤退するタイミングに大量の利益確定のための反対売買が登場することだけはある程度覚悟しておく必要がありそうです。
この投機筋主体相場というのは個人投資家などの視点とかなり異なる状況が示現してしまい、理解に苦しむことも多くなるものですが、相場を混乱させる主が休みで姿を消してしまいますと驚くほど様子が変わることがありますので、どこまで今の流れについて行くかはかなり慎重に判断することが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)