一旦は終息したかに見えた「ロシアゲート」問題を引きずるようなネタがまたしても飛び出し、ドル円は113円台に下落してNYタイムを引けています。
トランプ米大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニアは、昨年の米大統領選中にロシア人弁護士と会合したとされる問題を巡り、一連の電子メールを公開し、これを市場が嫌気してドル円は反落、ユーロドルは1.15に迫るところまで上昇する展開となっています。
この問題もどのように決着がつくのかわかりませんが、上院情報委員会はトランプ・ジュニア氏、および他の同会合の出席者から事情を聞く必要があるとメンバーが述べているところを見ると、またなんらか参考人の公聴会が開かれる可能性が高まりそうで、ドルにとっては余分な足かせとなることが考えられます。
すぐ情報を開示するだけ安部政権よりまだましか?
この電子メールは、ロシア検察のトップが米大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官に不利な情報の提供を申し出ていたことを示唆しており、やはりロシアとコンタクトがあったことが改めてよくわかります。
米国の大統領選ともなればロシアまで巻き込んで陰謀が渦巻く世界に突入するものなのだという点は映画のような世界で、実に興味深いものがあります。
しかし、この何が嘘でどこからが本当なのかさっぱり判断できないネタで相場が下がってもその先どうなるのかがわからないだけ、為替取引をする投資家にとっては実に頭の痛い問題で、勝手に強気になっても弱気になってみてもそのとおりに相場が動かないのは実にこまった状況といえます。
しいて言えば、安倍首相のようにどう見ても公私混同のような三流の学校経営者へのいかがわしい便宜供与のような話への対応に比べれば、少なくとも疑惑がでるとすぐに証拠を開示して見せるという姿勢はまだましにもうつります。
しかし、指摘されると実はこんなことでしたとして出してくるのが 本当に誠実なのかと言われればこちらもかなり首を傾げたくなるものであることは確かで、ここからの動きがどうなるのかが注目されます。
ただ、どうもこうした疑惑は決定力にかけるものがあり、本当にトランプの息の根が止まるものなのかどうかもよくわからない状況といえます。
国民の目をそらすために違うことを持ち出してくる可能性
この手の話しのノイズレベルが高まることになりますと、トランプが国民の目をほかにそむけるためにまったく別の問題を持ち出してくる可能性が考えられます。
直近では北朝鮮問題で何か動きを強めることは十分に考えられますが、北朝鮮を深く突き詰めてみるとその背後にまたロシアがでてくることになりそうですから、果たして適切なスピンコントロールネタになるかどうかはよくわからず、そうこうしているうちにトランプを追い詰める決定的なネタた登場しないともかぎらないだけに、この話しは為替にとってはかなり難しい判断要素になりそうな気配です。
ただ、減税問題などが大きく進展し具体策がこの夏に明確に示現してくるようですとまた流れが変わる可能性も残されているといえます。
ただ、いずれにしても米国民にとってはかなり飽き飽きするネタになりつつあることは間違いなく、日本での森友、加計学園問題で首相がまったく信じるに値しない存在に成り果てたのと同じように、当座は乗り切ることができたとしてもトランプに対する信任がかなり下がることだけは間違いなさそうです。
また為替市場では慢性的なドル安の要因として機能することが十分に考えられ、現実的にドル円の足もとの相場を見ても115円にはそう簡単に到達しない状況が明確になりつつあります。
もともと強い政治銘柄がドル円ですが、トランプに絡む政治リスクはほとんど明確な決着がつかないだけに日柄調整に利用されやすく、7月は膠着しながら狭いレンジを上下する相場が続いてしまうのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)