7月後半にさしかかったところで為替は結構意外な展開になりはじめています。
114円台中盤からいきなり下落を始めたドル円は既に112円でもサポートされずに111.800円さえも下抜けするという思わぬ展開になってきています。
これを演出しているのはひとえにユーロドルの上昇であり、市場のテーマはいきなりユーロ高、ドル安へと進行しはじめています。ほとんど市場で注目されていないドル円がドル安に引きずられて下落するのは仕方ありませんが、20日の「ECB理事会」狙いでさらにユーロが上昇するようなことになるとドル円は一段安も覚悟しておかなくてはならない状況です。
7月にまさかここまで下落するとは思っていませんでしたが、確実に流れが変わってしまった感があり、迂闊な下値拾いをしても儲からないリスクのほうが高くなりつつあります。
ユーロは久々に対ドルで1.16に迫る勢いまで上昇していますので、ドル安は鮮明な状況で、個人的にはドルが一旦大きく上昇してから下落に転じると思った動きはこのままではそう簡単には示現しなさそうな気配が濃厚になりつつあります。
為替が想定したとおりの動きをしないのは日常茶飯事ではありますが、まったく上昇しなくなった米国10年債の動きもドル円の再上昇を阻むものになっています。
ユーロ買いはもう対ドルでここまであげてきていますので今から飛び乗るよりは、やはり20日の「ECB理事会」の結果を見てからエントリーしても遅くなさそうです。
Data Investing.com
一方的に円高になる要因はないがドルが再浮上する材料もなし
為替はあくまで通貨間の相対的関係から作り出されるものですから、円が足元で大きく買われる材料が見つからなくてもドル安からクロス円も下落すれば、結果としてドル円が円高方向に振れてしまうのもいたし方ない状況といえます。
またあっさり111円台まで下落した状況を見ますと、ここからさらに下方向を試す可能性も十分に出はじめているといえます。111.500円を割れれば111円、そしてさらにその下となると110.500円程度までは簡単に到達するリスクも高まっています。
手のひらをかえしたように相場の方向が変化するのは為替にはよくあることで驚くべきものではありませんが、そういう意味でいいますと8月ドル円は下落の「アノマリー」が極めて強い状況ですから、通常この時期に5円程度の上下幅をもって動くことと考えますとここからまさかの108円方向まで全値戻しなどということがあっても仕方がないのかも知れません。
チャートで見る限り1時間足などでは明確な下落トレンドがでており、まだ下がっても決しておかしくない動きになっています。
こうなると中途半端なところで買いから入っても下抜けするリスクがかなり高くなりますから様子を見ることが重要になりそうです。ドル円は日足でみますと完全にダブルトップをつけていますから、ネックラインまで下がってもそれほどおかしくはない状況です。
米株価だけがじり高更新する不思議
7月一杯までは米国の株式市場も上昇を継続するのではないかという見方どおりS&P500と「NASDAQ」は続伸しています。
株価も強く、債券金利が下落したままの状態ではドル円の上昇が期待できないのはもはや当たり前の状況ではありますが、ここからは変化の兆しに着目していきたいと考えます。
しかし7月ドル円で失敗した個人投資家は結構多かったのではないでしょうか?NYタイム終了時にはなんとか112円台で下げ渋ってはいますが、113円台以上で損切りができていないポジションはまだかなり残っている模様で、これがはけない限り上値は当分重そうな状況です。
おそらく8月にかけて潮目の大きな変化が登場するはずですから、あわてず資金を減らすことなくじっとその参入タイミングを待つ時期なのかも知れません。梅雨明けもしないのに猛暑となっている最近の気候とは裏腹になんともお寒い雰囲気のする為替相場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)