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せっかくショートの調整がでて112円を超えるところまで戻ったドル円ですが、またしても111円台すれすれにまで戻る動きとなってしまい、ここからの上昇はさらに厳しい状況になってしまいました。
実はインフレ率に自信のないイエレン議長
6月の利上げ時には驚くほど市場の先行きを楽観視していた「イエレン議長」でしたが、結局蓋を開いてみるとまた「インフレ」に対する先行きが不安定なものになってきており、「FRB」が利上げできないとなると、これに追随する形で金融政策の正常化を進めようとしている「ECB」に影響を与えることになるのかどうかが非常に気になるところです。
「バランスシート」の縮小に関しては依然9月からとう市場の見方が継続中ですが、こちらもたいした額ではないとはいえ本当に市場の見立てどおりに縮小が開始するかどうかにも関心が集まりそうです。
結局のところ、一連の「FRB」の利上げや資産縮小の動きは「イエレン議長」退任をにらんだ正常化に過ぎず、株価も史上最高値を更新中の段階にとりあえず少しでも利上げしておくことにしたいという思惑が働いたことは間違いないようです。
現状の「FRB」メンバーはほとんど学者の集団に近く、学問的には正論なのかもしれませんが、実際の政策として今のやり方が正しいかどうかはまったくわからない状況で、このまま利上げを先送りにするような動きが明確になってくると「イエレン議長」のレイムダック化も一気に進みそうな気配です。
実務派たたき上げコーン氏に交代すれば様変わり？
トランプ大統領は最近の発言として「イエレン議長」の続投かコーン氏の就任加の二つの選択肢を口にしていますが、民主党から共和党に政権が変わっているわけですし、就任以降ひとつとして政策を実施できないトランプ大統領にとってはより自分と親和性の高いコーンNEC委員長をFRB議長に就任させ、緩和側に舵を戻すことと「ドッドフランク法」を修正することが大きなメリットになるはずで、実際問題としては「イエレン議長」の継続はもはやない選択肢となりつつあるようです。
夏休みを過ぎるとこの話題で市場はもちきりになる可能性がありますが、相場のたたき上げから「ゴールドマンサックス」の社長兼COOにまでのし上がったコーン氏はこれまでのFRB議長の中でもリアルなマーケットの状況をもっともわかっている人間であることは間違いないようで、彼がFRB議長に就任すれば、トランプ政権は明確な「ゴールドマンサックス」政権となることから、意外に相場暴落から市場を救う可能性もあるという見方がではじめているようです。
当面ドル円は市場の関心の蚊帳の外か
さて、こうなると相場の先行きがどうなるのかが注目されますが、ユーロドルはどうやら続伸の可能性が一段と高まっており、投機筋もそれにかける動きに転じているようです。
一方ドル円のほうは市場が薄れているだけに上昇機会はさらになくなっているようで、2014年1月以来最大となっている円ショート、つまりドル円の買い上げの枚数が巻き戻ることになれば、ここからかなりの下落を覚悟しなくてはならなくなりそうです。
一旦110円台中盤手前で下げ止まったことで安心感はでましたが、またしてもどうなるかよくわからなくなってきています。今週の相場が終了しますといよいよ市場は夏休みモード全開で参加者もぐっと減少することから為替にかぎらず株の相場も夏枯れが加速します。
少ない参加者の中で妙なフローがでると一方的に相場が動くこともありえますので、様子がわかるまでは迂闊なポジションはとらないようにしたほうがいいのかも知れません。とくに8月前半は例年ドル円が下押ししやすい状況ですから、押し目買いもよほどひきつけないと下げにただ単に巻き込まれて証拠金を減らすだけになりかねない状況です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
