28日日本時間の夜9時半に発表となった米国の4-6月(第2四半期)GDP速報値は、個人消費支出や企業の機器投資の回復が寄与し、前四半期よりも伸びがよかったものの市場予測よりも悪かったことからドル売り先行の動きとなりました。
しかしそれより大きなインパクトとなったのが深夜に飛び込んできた北朝鮮ミサイル発射でドル円は一時110.669円まで下落する動きとなりました。
個人消費は回復も住宅投資には利上げの影響が示現
Data Bloomberg
今回の発表内容を見てみますと、個人消費は2.8%と前期比では伸びか仮加速しているものの、企業設備投資は5.2%と前期比7.2%から減速、住宅投資も6.8%減となり2010年以来の大きな下落となっています。
この領域では明らかに利上げの影響が出始めていることが明確になったといえるでしょう。
個人消費資質PCE指数は食品とエネルギーを除いた年率で0.9%と2010年でもっと小幅な伸びにとどまっており、インフレなど起こりそうもないことを明確に示唆しはじめています。
イエレンFRBはとりあえず利上げは市場の様子見としながらも資産縮小は早めに着手することで長期金利を人為的に持ち上げ、短期が持ち上がらないようにして長短金利差を作り出し、銀行の救済に充てようとしている気配濃厚です。
しかし、長期金利が3%を超え始めれば今度は株式市場が嫌気し始めることは間違いありませんから、ここからの舵取りは相当難しいところに入ってきているといえるのではないでしょうか。
予告を裏切らない北朝鮮ミサイル発射
photo 共同通信
一方、北朝鮮ミサイル発射は事前予告を裏切らない形で深夜にいきなり行われることになりました。精度が上がっているのかどうかは全くよくわかりませんが、また海に落ちていったようです。
ただ、為替の世界でよくわかったのはこうした報道があるとまずいち早くその内容を読み込んで動き始めるのがアルゴリズムであることから、どこに向かって飛んできても初動はドル円が円高方向に動くということです。
おそらく国内で被弾したというヘッドラインが踊るとドル円は今度は円売りになるのかもしれませんが、北のミサイル発射で円高か円安かという話はとりあえずアルゴ判断に起因することが見えてきています。
国内的にはくだらない防衛大臣が辞任した途端にミサイルを発射されているわけですから、まったく話にならない状況で国内の防衛と現実に大きなギャップを感じることとなっていますが、ここから米国サイドがなにかするのかどうかが注目されます。
足元では悉く政策がうまくいかないトランプ政権が人気回復のために北を叩く可能性もまったくないわけではなく、逆にトランプが中国にさらなるプレッシャーをかけることも想定されますので、なんらかの動きがさらにドル円に影響を与えるリスクも高まりそうです。
市場はほとんど8月の夏休みモードになりつつありますが、場が薄いだけに北朝鮮ミサイル発射起因で余計なことが起きたり米国がまさかの応戦ということになると驚くような動きになることも覚悟しておく必要がありそうです。
土日にポジションを持ち越すのは結構危なくなりそうですし、事と次第で円安となるような新たな事態となればショートにだけしているのが安心ともならない可能性があり、相当注意が必要です。
今回の北朝鮮ミサイル発射が相場に与える影響がどの程度のものなのか。
個人的には、よくもまあお金もないのにミサイルばかり発射するものだという気がしますが、どうも北朝鮮のバックには中国よりはロシアの姿がちらつき始めているので米国がなにか出来る状態ではないのかも知れません。
そもそもトランプはもっとも戦争をしないタイプとされていますので、一線を越えたら本当にやる気になるのかどうかももうひとつよくわからない状況です。
ただ為替的に言えばミサイルが発射されただけですと1円と相場は動かなくなっていますので具体的な被害がでないかぎりは驚くような動きは見られなくなっているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)