足元の状況をバブル相場だと認識できない市場関係者が、かなりのベテランの間にも増えているという驚くべき状況が展開しているようです。
長くこの”ぬるま湯”であまりリスクを感じない相場にどっぷり漬かってしまっていると、プロの投資家でもこうした安易な発想になるようで、実はかなり危険な兆候といえます。
とくにバブル相場かどうかがよくわからないと市場関係者が言い出すのは相当危険な兆候であり、個人投資家も相当身構える時期が到来してきていることを強く実感させられます。
ゴルディロックス相場がもたらす誤認
イギリスの恐ろしい童話に「ゴルディロックスと3匹のくま」という話があります。
3匹の熊が家を留守にしているうちにゴルディロックスという名の少女がその家に迷い込み、おなかが空いて勝手に部屋においてあったスープを飲み干してしまいます。
ゴルディロックスは3つのうちでもっと適度なスープを選択して飲み、その後眠くなって、やはり3つの熊のベッドのうち、丁度いい堅さのベッドを選んで寝てしまうという話です。
ただ、この話は「適度なものを選ぶのがいい」ということではなく、その後熊の一家が家に戻ってきて少女は偉い目にあうというのがオチになっているもので、「ぬるま湯に漬かっていると実態がよくわからなくなって最後にはひどい目に合う」というのがこの話の教訓なのです。
足元の相場はこの緊張感を欠いた適度な“ぬるま湯相場”でなにも起こらないとタカを括っている市場参加者が多いようですが、実はとんでもないところにさしかかっているという見方が強まりつつあるのです。バブル相場が終わってから気が付いてはもちろん遅いということです。
“ぬるま湯相場”の最後はプロでも走りに参加してしまう
最近ファンド勢の要人でも足元の状況が「バブル相場かどうかわからない」といった意味深な発言をすることが多くなってきます。
バブル相場の最終段階というのは想像以上に走ってしまうことが多く、もうそろそろお終いというタイミングになっても、もう一段相場が走ると結局それについていく市場参加者が多く出てきてしまうことになります。
株価よりも深刻なのが債券市場の世界的なバブル相場
バブル相場が認識できないという点で深刻なのは、いまや株式市場よりも債券市場になってきています。株価はさすがに史上最高値といったものが示されますからリスクが高まっていることは相当な素人でも判断できますが、債券市場はそうは行かない状況です。
長期に渡りあまりにも低くなってしまった実質長期金利が上昇しはじめると、この債券市場のバブル相場が崩壊するリスクが極めて高まることになる点を理解していない人々がかなり多いのは非常に危ない状況です。
この債券金利の上昇を主導的に画策しているのがFRBですから、市場がおかしくなる可能性はかなり高くなってきているといえます。やはり今の相場が完璧に終了するとなれば、そのきっかけは債券市場の異変からになることは間違いないのではないでしょうか?
FX取引を行なうものにとっては債券市場を常にチェックするというのもなかなか厳しいものがありますが、FX相場の異変をいち早く察知するためにはこうした努力が確実に必要になりそうです。
超楽観相場というのは、とかくリスクを忘れてすっかり居心地のいい状況にあぐらをかき過ぎる嫌いがありますが、実はその影で大きなリスクが迫ってきていることが多いのです。
たいして動かない「夏枯れ相場」のこの時期こそ、こうしたリスクにどのように対応していくべきなのかをよく検討してみるのも意味があるのではないでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)